研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -015/117page

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て授業を行ったという経験から,子どもに対する理解と対応が深まり,教師の目が「子ども一人一人」に向く傾向があると考えられる。

講師経験別によって悩みの傾向も違う実態が分かる。対象教員の状況を把握し,「指導を求める」または「不足している」と思われる事項について研修を深める必要があると考える。

講師経験別悩みの内容

2. 「授業参観」から学ぶ内容より

《平成9年度アンケート調査結果より》
授業参観から学ぶ内容

「個に応じた指導」に関する内容は,対象教員が抱える悩みの中で1番であるが,「授業参観」研修から学ぶ内容としての割合は小さい。これは,参観するのみでは,生徒個々の学力や個性など理解が十分できないことと,授業者の意図が理解できにくいためと推察できる。

授業参観をする際に,・対象教員のみが参加(33%),・指導教員や教科指導員も参加(54%)《指導教員へのアンケート調査から》することが多いという実態から考察すると,「授業参観」研修を指導する者は,対象教員が参観するだけでも分かりやすい「教科指導の基本技術」「興味・関心・意欲の高め方」などの他に,授業を参観するだけでは気付きにくい,生徒個々の様子や教師の意図などを合め「個に応じた指導」に関する指導などを事前・事後研修で丁寧に行う必要があると考える。そうすることが,対象教員に授業を観る目を育てることにつながり,自分自身の授業に生かせる研修になると考える。

IV 調査研究のまとめ

「校内における研修」の180時間の指導時間のうち,「教科指導」領域の指導時間は,平均65時間(36%)《平成9年度年間指導計画書より》である。対象教員の教科指導の力量を高めるためには,この時間を,校内の協力体制のもとに「授業参観」研修を中心にした指導を行い,「研究授業」研修をとおして身に付けさせていくことが重要であることが分かった。

そこで,管理職を含めた指導担当者がどのようにかかわっていけばよいのか,「授業参観」研修と「研究授業」研修の視点を次のように考える。

(1)「授業参観」研修では

○ 出来るだけ数多くの参観の機会を投定する

対象教員は,先輩方の授業を数多く参観し,そこから学びたいと思っている。数多くの参観の機会は,学校における相互教育力をより強め,「校内研修」の活性化のためにもつながると考える。

○ 授業を見る目を育てる事前・事後指導を充実する

指導する者が,対象教員が気付きにくい事柄などの指導を丁寧に行うために,事前・事後指導を充実させる必要がある。

(2) 「研究授業」研修では

○ 授業研究主題と授業参観との関連を図る

研究授業にあたっては,毎回設定することになっている授業研究主題にそった模範的な授業参観の機会を意図的に事前に設定し,目標とする視点を明確化した指導を行う必要がある。


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