研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -016/117page
3 高等学校において,学校の活性化を目指す初任者研修の在り方はどうあるベきか
学校の活性化を目指す初任者研修の在り方 −高等学校の「校内における研修」において− I 研究の趣旨
初任者研修は教育公務員特例法第20条の2により,「小学校等の教諭等の任命権者は,小学校等の教諭等に対して,その採用の日から一年間の教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修を実施しなければならない」としていることから行われる研修で,その目的は次の3つである。
1. 実践的指導力を養う 2. 使命感を養う 3. 幅広い知見を得させる 本県の高等学校では試行期間を経て,平成3年度より本格実施し,制度として定着している。
そこで,初任者研修の「校内における研修」が学校の活性化にどの程度寄与しているかを,平成8年度と平成9年度との比較から高等学校初任者研修の実態を把握し,学校の活性化を促す初任者研修の「校内における研修」の在り方を探ろうと考え,本研究主題を設定した。
II 研究の目的
高等学佼の「初任者研修年間指導計画作成要領」では,指導教員及び教科指導員が指導に当たる時間は年間指導時間(180時間)のうち6割程度とするよう定めている。それは,初任者に対する指導は学校内の一部の教員で行うのではなく,理想的には全ての教員が講師として指導にあたることが望ましいことを示している。理由は,講師として初任者に指導することが講師自身の研修になるとともに,初任者研修への参加意識の高揚ひいては学校の活性化につながるからである。
また,指導教員を援助する学校全体としての協同的な体制を確立するとともに,これを校務分掌組織に位置付けることは,初任者研修を組織的に運営しその組織を活性化することにより初任者研修の充実が図られ,「校内における研修」が充実することは学校の活性化につながるものと考える。
これらのことから,高等学校初任者研修の「校内における研修」の現状を把握し,「校内における研修」の充実の方途と,それが学校の活性化にどうつながるかを探りたい。
III 研究計画
1.調査の目標
初任者研修に関わる「講師の活用状況」と「校務分掌組織化の現状」を把握することにより,学校の活性化と初任者研修の在り方を探る。
2.調査項目と内容
(1) 調査項目 1. 講師の活用状況の実態を把握する 2. 校務分掌組織化の実態を把握する (2) 調査内容 1. 講師の活用状況 ・「校内における研修」において指導に当たった講師の割合 ・学校規模別(教員数による)対象教員配置状況 ・学校規模別講師活用状況 2. 校務分掌組織化状況 ・初任者研修に関わる校内体制について ・校務分掌組織率と講師活用率との関係 3.調査方法
(1) 「高等学校初任者研修年間指導報告書」から講師の活用状況の実態把握と分析を行う。
(2) 「初任者研修に係る調査」から校務分掌組織化状況の実態把握と分析を行う。
4.調査対象
(1) 平成8年度対象教員配置校・・・・・63校