研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -020/117page
4 道徳の授業実践意欲を高める日常的な研修の在り方はどうあるペきか
道徳の授業実践意欲を高める日常的な研修の在り方 −道徳教育通信の発行を通して− 1 研究の趣旨
心の教育の重要性が叫ばれている今日,学校においては,特に,子どもの心を育てる道徳教育の充実が求められている。
しかし,道徳教育の取り組みについては,学校差や教師による個人差が大きく,研修の在り方や道徳の授業については問題点が多いのではないだろうか。
昨年度,県教育センターで実施した「研修の現状と具体的な取り組みの実態調査」の中で,「役立った研修」について,教科指導を挙げた教師は,全体の64.9%をしめているが,道徳教育を挙げた教師は,3.0%にとどまっている。
この結果は,学佼の研修内容が教科指導中心で道徳教育に関する研修が十分ではないことを示していると思われる。
また,大妻女子大学,金井肇氏の研究室で実施した道徳の授業に対する調査によると,「道徳の授業が楽しいか」との質問に,小学校低学年の児童は,55.2%が「楽しい」と感じているが,学年が進むに連れてその割合が減り,「楽しくない」とする割合が増加している。
「楽しくない」と感じる理由は次の通りである。
・いつも同じ授業だから ・考えを押し付けたりお説教に聞こえてしまうことが多いから ・資料の内容がつまらないから ・分かりきったことしかないので,感動したり深く考えたりすることが少ないから ・自分に関係のない話だと思ってしまうから ・自分が本当に知りたいことや求めていることが学べないから 道徳教育を充実させるためには,このような道徳教育に関する研修や道徳の授業についての問題点を解決していくことが大切であると考える。
そこで,教師がかかえている道徳教育に関する問題点を明らかにし,その諸問題に応えることができる「道徳教育通信」を定期的に発行していけば,道徳の授業実践意欲が高まり,日常的な道徳研修の充実が図られると考え,本主題を設定した。
2 研究のねらい
教師がかかえている道徳教育に関する諸問題を明らかにし,その諸問題に応じた「道徳教育通信」の発行を通して,道徳の授業実践意欲を高める日常的な研修の在り方を探る。
3 研究の内容・方法
(1) 教師がかかえている道徳教育に関する諸問題を調査によって明らかにする。
(2) 教師のニーズにあった道徳教育通信の試案を作成する。
(3) 道徳教育通信の効果的な活用方法の見通しを明らかにする。
4 研究の実際
(1) 教師がかかえている道徳教育に関する諸問題
本年度(平成10年度)福島県教育センター道徳教育実践講座を受講した87名の教師から「道徳教育指導上の諸問題」を一つずつ挙げてもらい,その資料を集計,分析した。
その結果,問題点のキーワードとして多く挙げられたものは,「道徳的実践力」「資料」「話し合い」