研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -024/117page
その他「活発でない理由」として,次のようなことが挙げられた。
・時間が限られ,話し合いを深めるゆとりがない ・授業研究会の回数が少ない ・計画では,研究会が位置付けられているが,実際に行われていない ・研修意欲が少ない それに対して「活発」と答えらた理由には,次のような項目が挙げられた。
・計画的に授業研究会が実施されている ・積極的な意見交換がなされている ・研究の視点をもとに話し合いが進められている ・適切な指導・助言がいただける ・指導力を高めようと,研修意欲が高い先生が多い 以上のことから授業研究会が活発な理由とそうでない理由とは,相対することが分かる。そこで,「形式的な反省に終わっている」「発言が少ない」「話の焦点が定まらない」等の問題点を解決し,授業研究会を活発にするためには,フリーカード法を取り入れれぱ良いのではないかと考えた。
2 フリーカード法活用の有効性の検証
(1) フリーカードの内容分析の調査
小学校(27人)中学校(43人)高等学校(2人)の計72人の教員を対象に,カードに記入された内容を把握するため,実際にフリーカードを用いて授業研究会を行い,カードを分析した。
その結果,カードの記述内容は次のグラフのようになった。
上記の結果と前掲の教師のニーズとを比較してみると,学びたいと思っている内容がフリーカードに数多く書かれていることが分かる。つまり,授業を見る視点と教員が学びたいことが一致している。このことからフリーカードが教員のニーズを解決していく上で有効な手段であると考える。
(2) メリットとデメリットの調査
フリーカード法の効果を捉えるため,小学校(41人),中学校(46人),高等学校(5人)の計92人の教員を対象に,1. 授業者の立場 2. 観察者の立場でのメリット,デメリットを自由記述形式でアンケート調査を行った。その結果は,次の表のとおりである。
1. 授業者の立場で
[メリット]
指 摘 項 目 人 % ・様々な観点から率直な意見が得られ,改善点が明確になる 44 48 ・自分の意識していない授業の問題点が分かる 16 17 ・授業全体の特徴をつかむことができる 15 16 ・授業細部まで目を配ってもらえる 8 9 ・話し合いによる検討より情報量が多い 6 7 ・その他 3 3 [デメリット]
指 摘 項 目 人 % ・特にない(考えられない) 36 39 ・カード内容の受け止め方について 1. 否定的な意見を受け止めるのはつらいときもある 16 17 2. 率直な意見が怖い 8 9 3. 的を射ないカードの処理の仕方 3 3 ・観察者の手の動きが気になる 9 10 ・観察してほしい点がぼやける 8 9 ・様々な項目が出されるため,ポイントが絞りにくい 5 5 ・その他 7 8 メリットとしては,多くの教員が自分の授業を反省したり,課題に気付いたりするなど,よりよい授