研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -025/117page

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業にするための改善策をフリーカードから得ることができると指摘している。また,デメリットとしては,29%の教員がカード内容の受け止め方について指摘しているが,これは教員一人一人の研修に対する前向きな姿勢によって解決していけるものと考える。

2. 観察者の立場で

[メリット]

指 摘 項 目
・授業を見る視点が広がる 34 37
・ある概念に縛られず,自由な見方ができる(遠慮なく書ける) 22 24
・話し台いの視点が明確になり,深まりがでる 16 17
・様々な意見・情報が整理しやすい 9 10
・視点を考えながら授業を観察するようになる 4 4
・その他 7 8

[デメリット]

指 摘 項 目
・分類するのに時間がかかる 34 37
・観察の視点がぼやけてしまう 14 15
・分類の方法について慣れが必要 10 11
・視点がマイナス(改善部分)中心になってしまう 7 8
・焦点化された協議会の運営が難しい 6 3
・分類方法についての研修が必要 3 7
・特にない 9 10
・その他 9 10

メリットとしては,分類作業を通して,他の観察者の自分とは違った見方・考え方が参考になり,「授業を見る視点が広がる」ことを多くの教員が指摘している。このことは,フリーカードを通して授業を見る目(授業観察の能力)が育成されることになり,観察者自身の自己研修にもなっている。また,事前調査の中で「話し合いの焦点が定まらない」と28%の教師が答えていたが,フリーカードを通して「話し合いの視点が明確になり,深まりがでる」と17%の教員が指摘している。このことは,分類作業の中で観察者が共通に問題にしていることや注目していることが浮き彫りになり,それらのカードからいくつかの観点を絞って協議を進めた結果,協議会に深まりがみられたことを指摘しているものと思われる。

一方,デメリットとして「分類の時間」や「分類方法」について約50%の教員が指摘しているが,フリーカード法の回数を重ねることによって少しは解消できると思われる。しかし,分類作業の話し合い(カードの読み取り)が深まれぱ深まるほど時間がかかるのも事実である。また,「焦点化された協議会の運営」については,協議司会者の力量に頼るところが大きいと思われるが,参観者のカード分析の力が,回数を重ねるごとによって培われれば解消できると考える。

(3) フリーカード法の有効性の調査

今までの授業研究会とフリーカード法を取り入れたときとの比較を行い,有効性を探るために,小学校(41人),中学校(46人),高等学校(5人)の計92人の教師を対象に,自由記述で「良かったこと(点)」だけを挙げてもらった。

次の表は,その結果である。

良 か っ た 点
・深まった話し合いができる 17 18
・意見の交換が活発になる 14 15
・授業を見る視点が広がる 15 16
・観察者全員の意見が反映されるので,参加意欲が高まる 12 13
・授業のポイントが明確になる 9 10
・マイナス意見も多く出されるので改善点が明確になる 7 8
・カードを分析することにより,協議の方向性を見つけやすい 6 7
・授業を多方面から分析できる 5 5
・その他 7 8

以上の結果から,回答した教員の全てがフリーカード法の良さを挙げている。その項目の多くは例えば,


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