研究紀要第117号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研修 第3年次」 -032/117page

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(2) 主述の関係についての理解を深める

前述の児童の実態から,主述の関係については,第5学年の指導内容「文の中での語句の係り方や照応の仕方を理解して,いろいろな文の構成があることを理解すること。」の中で繰り返し指導する必要があると考えた。

指導に当たっては,「文法的事項などのうち繰り返して学習させることが必要なものについては,特にそれだけを取り上げて学習させる(後略)」(指導要領第2章各教科第3節国語第3指導計画の作成と各学年にわたる内容の取扱いの2(1)より)だけでなく,「『A表現』及び『B理解』の指導を通して」(同[言語事項]冒頭部分)指導することが大切である。

そこで,今回の研究では,物語文「大造じいさんとガン」(椋鳩十)を教材とし,「人物の気持ちや場面の情景の叙述や描写を味わいながら読むこと。(B理解オ)」を中心として指導する中で,述語をもとにその文の主語を問うことで,登場人物の行動を正確に読み取ることができるようにしたいと考え,「細かいところにも気を付けて読む。」という内容を単元の指導計画の第2次に位置付けた。

【資料4】

指導計画(総時数 12時間)作文4
第1次 「大造じいさんとガン」を読み,初発の感想から学習課題を設定する。 2時間
第2次 細かいところにも気を付けて読む。 4時間
・前書き〜2の場面
・3の場面〜4の場面
第3次 叙述や描写を味わいながら読む。 4時間
第4次 自分の表現に生かす。(情景描写を工夫して物語を書く。) 4時間

また,短い文から長い文,そして,単文から複文や重文,さらには主語が省略された文というように簡単なものから難解なものへと段階を踏みながら述語をもとにして主語を問うようにした。

【資料5】

例文1 ぼくはたべる。
例文2 大造じいさんは,生きたドジョウを入れたどんぷりを持って,鳥小屋の方に行きました。
例文3 いきなり,敵にぶつかっていきました。そして,あの大きな羽で,力いっぱい相手をなぐりつけました。

例文1では,自作教具「文構成プロック」【資料6】を使用し,主語と述語との関係について視覚に訴え理解を深める工夫をした。

例文2では,

発問 「行きました。」は,この文の述語です。主語はどの言葉ですか。つまり,だれが行ったのですか。主語に傍線を引きましょう。

と問い,主語「大造じいさんは」を確かめた。

また,例文3では,

発問 だれが(ぶつかって)いったのですか。

と発問し,文の意味を明確にするとともに,主語が省略された文もあるということに気付かせた。

(3) 主述関係と,修飾・被修飾関係とを明確に区別させる

修飾語についての理解を深め,同時に主述関係と明確に区別させるために以下のような取り組みをした。

「文構成プロック」【資料6】の[ぼくは][たべる]を提示し,主語と述語を確認した後,

発問 じゃあ,「ぼく」は何を食ベたと思う?

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