研究紀要第117号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研修 第3年次」 -035/117page

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小学校5年算数

1 研究の視点

平成9年度に実施した学力到達度調査では,4つの大領域の中で「量と測定」が最も低いことが分かった。その中でも「単位あたりの数量」,「いろいろな図形の面積」の中領域が弱点と考えられる。そこで,これらのそれぞれの中領域について,以下の視点で研究を進めた。

(1) 「いろいろな図形の面積」

1. 既習の面積の求め方に結びつける考えを大切にする。

2. 多様な考えを引き出し,それぞれのよさを感得させる。

(2) 「割合のくらべ方と表し方」

1. 児童に提示する問題の内容を吟味する。

2. 児童がつまずく言葉 注) に配慮した指導をする。 注) 本研究でほ「〜あたり」「こみぐあい」をさす。

3. 問題の提示の仕方を工夫する。

2 実践研究

(1) 「いろいろな図形の面横」の授業

台形の面積の求め方を考えることをねらいとした授業で,次のような取り組みをした。

1. 既習の面積の求め方に結ぴつける考えを大切にする

ア 授業の実際

面積の求め方としては,前学年までは長方形,正方形,前時までに平行四辺形,三角形について学習した。これらの面積の求め方を生かして台形の面積を求めることが学習のねらいとなるが,台形から既習の図形を見いだすことができるかどうかがポイントとなる。そのために,台形を既習の図形に置き換えてみる感覚が必要になると思われる。そこで,単元を通して図形感覚を養うための時間を毎時間確保した。その手だての一つとして,袋の中に入れた台形の図形を既習の図形に見えるように取り出すことを行った。【資料1】

イ 考 察

この授業では,台形の面積の求め方として児童から次のような考えが出された。【資料2】

【資料1】
【資料1】

【資料2】
【資料2】

このように既習の図形の面積の求め方を生かした考え方が数多く出されたことは,毎時間図形感覚を養う手だてを行ってきたことと,前時までの平行四辺形,三角形の面積を求める学習においても本時のような展開で授業を実施した結果と思われる。

さらに,三角形の求積において,合同な三角形2つから平行四辺形をつくり,それを2等分することにより三角形の面積を求めるという倍積変形の考えを本時の学習でも用いた児童が数名おり,この点においても既習の考えを生かしていることが分かる。

2. 多様な考えを引き出し,それぞれのよさを感得させる

ア 授業の実際

前述したように,既習の知識で学習課題を解決して多様な考えを引き出すようにした。

学習シートにより自力解決を行わせた。学習シートの構成は,「学習課題,台形の図(長さは示さない),方眼上に示された台形の図,まとめ」である。図に長さを示さなかったのは,面積を求めるのに必要な長さを児童自らに見つけさせるためである。1


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