研究紀要第117号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研修 第3年次」 -040/117page

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【資料3】
◇ 取り組みについて振り返ってみよう。
(1) スピーチの前(1,2,3時間目)
・積極的に活動した。
・練習ポイントは確認した。
(Good,O.K.,Poorで評価)
(2) スピーチをして(2,3時間目)
・アイコンタクトがとれた。
・はじめ,途中,終わりなど,適切な表現が使えた。
・聞き手に質問することができた。
・相手からの質問に答えられた。
・答えにプラスワンできた。
(3) スピーチを聞いて(2,3時間目)
・アイコンタクトをとり相づちを打ちながら聞いた。
・話し手の質問に答えられた。
・答えにプラスワンできた。
・話し手に質問することができた。

3. スピーチ2(3時間目)

ペアを換えて,2時間目と同じ要領で,スピーチと自己評価をさせた。必要に応じて,次の時間(4時間目)に練習のポイントを取り出して練習させた。

4. 全体の流れ

以上の1.〜3.の活動を1つのサイクルとし,これを5〜6サイクル行った。初期の段階では,スピーチのまとめ方として提示された流れに沿って,自分の言いたいことを的確に話したり,スピーチ終了後に問答できることを目標にした。徐々に相互のやりとりが行われ,即興的な要素が含まれる活動に高めさせた。3サイクル終了後,活動について再検討し,指導中に教師がとらえた改善点から,【資料4】のとおり指導事項を重点化し,活動を継続した。

【資料4】
・日本語で内容を考えると難しい英語が必要なので,自分の英語力で何とか言い表せるように工夫する。
・モデルを提示する際に,「内容」,「対話をつなぐ表現」,「文のアクセント」にしぼり,確認する。
・スピーチの質を高めるために,ABCの3段階に分け,それぞれの段階に応じて目標を持たせる。
A…自分が対話をリードしていく。
B…自分の思いを伝える。
C…基礎的な表現を使って,一定の形で簡単なことを話す。

(2) 検証の結果と考察

1. 積極性を養う面の変容

活動前後の意識調査の結果を比較した結果,成就感を持てた生徒が約1割増加し,約7割になった。また,もっと話したくなるという生徒は25ポイント増加して約7割である。「話すこと」の活動においてコミュニケーションが成立し,話す楽しさを味わい,「話すこと」への意欲がわいてきたことが分かる。そして,約80%が積極的に取り組むとしていることから,この活動を通して,「話すこと」への自信がついてきたことが分かる。また,89%の生徒が以前よりうまく話せるようになったとして達成感を持っていることから,Mini−Speech 活動は「話すこと」への積極性を育成するのに,有効であったと言える。

自己評価については,【資料5】で明らかなように,自己評価をしたことが,自分を振り返り,「話すこと」の活動に積極的に取り組むための有効な手だてとなったことが分かる。

【資料5】
【資料5】

ストラテジーを身に付けることにおいては,相手の話を聞く場合には,自分が理解できないという意志を伝えやすいが,自分が話す場合は,語彙力の問題もあり,うまく対応できていない。しかし,【資料6】,【資料7】において,「何もしない。」や「話が途切れる。」が減っていることから,何とかコミュニケーションを図ろうとしている姿がうかがえる。

【資料6】 単位は%
相手の言うことが分からなかったとき 事前 事後
繰り返してもらうように英語で頼む。 60.0 71.4
英語は言わず,ジェスチャーで伝える。 11.4 14.3
何もせずにそのまま話が進んでしまう。 28.6 8.6
その他 5.7

【資料7】 単位は%
自分が話していてつまずいたとき 事前 事後
別の英語で話そうとする。 14.3 14.3
書いて説明,ジェスチャーで何とかする。 48.6 65.7
何も言えなくなって,話が途切れる。 28.6 14.3
その他 8.5 5.7

意識調査によると,モデルの提示において,「相手の話が分からなかったときや自分がつまずいたときの対応が参考になった。」という生徒が約57%い


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