研究紀要第117号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研修 第3年次」 -041/117page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

た。また,表現集の効果として,「簡単な相づちができるようになり(69.7%),分からないことをそのままにしなくなったり(60.6%),対話が途切れることが減ったり(45.5%)した。」ことがあげられた。従って,ストラテジーを身に付けるのに,モデルの提示と表現集が果たした役割は大きいと言える。

【資料8】は,意識調査において手だてが効果的だったと指摘された事項と割合である。

【資料8】
手だて 項 目
プラスワン 話を発展させることができた。
もっと話そうという気持ちになった。
63.6
45.5
マッピング いろいろ思い浮かベることができた。
自分が話したいことを明確にできた。
54.5
57.6
3時間1サイクル 2回目のスビーチに1回目の改善点を生かすことができた。 66.7

また,活動では,教師が意図したとおりに,相互のやりとりのあるインタラクティプな活動が行われていた(60.6%)。

以上から,生徒はMini−Speech 活動に積極的に取り組んだこと,そして,活動によって話せるようになり自信がついたという生徒が多いことが分かる。次は,活動後の生徒の感想である。

【資料9】
・はじめは絶対無理だと思っていたが,自分の言いたいことをはっきり言えるようになり,相手のことも楽しく聞けるようになった。
・自分の分かる範囲で言いたいことを伝えることができた。質問がたくさん出てきて楽しくスピーチができた。
・自分でもこんなにスピーチができるとは思わなかった。

しかし,以下のような改善点も指摘された。

【資料10】
・マップの連想がやりにくかった。
・質問が多く出るので,1対1よりほ3人でやったほうがよい。
・スピーチの点数をつけるのがやりにくかった。
・何度もやるとトピックがなくなる。
・スビーチの準備の時間,スピーチの時間が少なかった。
・単語の言い替えがやりにくかった。

2. 能力を高める面の変容

ア ペーパーテスト

テストは,「話す」力の要素に従って作成したが,ペーパーテストでは,「話すこと」を直接見ることはできないので,「話すこと」に関わる知識の測定という意味合いで行った。それぞれの項目についての配点に対する平均得点率は以下のとおりである。

【資料11】 ( )の数字は配点
 

項 目

事前 事後

増減

正しい英語(音声)(3) 73.3 86.7 +13.4
挨拶,質問,指示,依頼に適切に応じる。(3) 73.3 80

+6.7

聞いたり読んだりしたことについて問答する。(6) 43.3 46.7

+3.4

大事なことを落とさないように書く。(12) 42.5 73.3 +30.8

いずれの項目の得点率も,事後テストにおいて上昇している。その要因は,実際に話す活動をする際に,注意点が明確になり,生徒が意識して取り組んだためと思われ,「話すこと」に関する事項が身に付いてきたと考えられる。また,項目4については,細かく見てみると次のようになる。

【資料12】 ( )の数字は配点
  項 目 事前 事後 増減
4−1 メモを書く。(3) 46.7

80

+33.3
4−2 英文を書く。(9) 42.2 71.1 +28.9
・内容(3) 43.3 63.3 +20
・表現方法(3) 36.7

60

+23.3
・積極性(3) 46.7 86.7 +40

4−2では,内容(言いたいことが明確か),表現方法(正しい英語か),積極性(できるだけ多く書こうとしているか)について採点した。全体として,得点率が上昇したことから,力がついてきたことがうかがえる。また,内容については,思いついた順に書くのではなく,自分が言いたいことをはっきりさせ,主張するときの形に従って述べているものが多くなった。積極性については,書いてある英語の量が増えていることが特徴としてあげられ,意欲が喚起されたことの表れと見ることができる。

イ インタビューテスト

生徒を上位,中位,下位のグループに分け,各ダループ3〜4名についてALTとのインタビューテストを行った。【資料13】は,「話すこと」の要素について,それぞれの要素ごとに音声,表現方法,内容,積極性の4つの観点から採点したものである。なお,項目1は,テスト全般にわたり,測定したものである。項目2,3,4は,それぞれの項目の問題に限り測定したものである。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。