研究紀要第117号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研修 第3年次」 -042/117page

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【資料13】 ( )の数字は配点
 

項 目

事前

事後

増減

正しい英語で。(6) 68.3 75 + 6.7
挨拶,質問,指示,依頼に適切に応じる。(24) 56.7 70.4 +13.7
聞いたり読んだりしたことについて問答する。(18) 60.6 67.8 + 7.2
話したいことを整理し,大事なことを落とさないように話す。(18) 57.2 72.2 +15

項目2〜4については,得点率の上昇が見られた。特に4については,話す内容が明確になってきたことと,話の進め方が身に付いてきたことが理由として考えられる。項目1の結果は,普段の「話すこと」の活動の中で,自分の英語が正しいかどうかを自分自身で判断するのは難しいことを示している。従って,正しい英語の習得を進める場合は,自分の英語を客観的に把握するための別の方法が講じられなければならない。

次に,【資料14】は,インタビューテストを音声,表現方法,内容,積極性の4つの観点から集計したものである。

【資料14】 ( )の数字は配点
 

項目

事前

事後

増減

音声(3) 66.7 76.3 +9.6
表現方法(3) 70 73.3 +3.3
内容(9) 65.6 75.6 +10
・意に沿った答え(3) 70 66.7 −3.3
・言いたいことが明確(3) 63.3 76.7 +13.4
・構成(3) 63.3 83.3 +20
積極性(12) 46.7 63.3 +16.6
・プラスワン(3) 40 56.7 +16.7
・会話をつなぐこと(3) 36.7 56.7 +20
・アイコンタクト,ジェスチャー(3) 66.7 83.3 +16.6
・自分から質問(3) 46.7 60 +13.3

内容の面では,「言いたいことが明確」,「構成」の観点の上昇からMini−Speech 活動の成果が感じられる。マッピングによってスピーチをまとめたことが実際の対話で生かされたと言える。しかし,「意に沿った答え」において下降していることから,「聞く力」を高める必要性も感じられる。積極性の面では,特に「プラスワン」,「会話をつなぐこと」,「アイコンタクト」等において効果があった。これらの項目は,生徒が活動する際に意識しやすかったためであると思われる。

3 研究のまとめ

(1) 研究の成果

Mini−Speech 活動は,「話す力」を育てるのに有効な方法である。特に,積極性を養う面において,成就感を待たせ,積極的に話そうとする態度を身に付けさせることができるという点で効果が大きい。また,能力的な面では,自分の言いたいことをまとめ,自分なりの形に従ってスピーチができるようになることが分かった。中でも,話すことのストラテジーを身に付けるのには特に有効な方法である。

(2) 今後の課題

1. Mini−Speech 活動の改善について

英語の正確さという点で,成果が見られなかった。スピーチの内容(スピーチの質と英語の正確さ)を高める工夫が必要である。自己評価の在り方と関連させて,自己を客観的に見て,改善点を把握し,より高いものをめざすことができるような手だての工夫をしたい。また,活動の時間的な制約,モデルの提示の在り方などについて改善していきたい。

2. 研究の妥当性について

「話す力」の高まりをとらえる際に,インタビューテストの実施方法,一部の生徒の結果で結論を導いていることなどの問題が残った。これで「話す力」をとらえられるかどうか疑問が残るところである。より信頼性のある方法を開発し,一般性を高めていくことが必要である。

研究協力校・協力員 二本松市立二本松第一中学校
菊地一彦 教諭

<参考文献>
1)文部省:「中学校指導書外国語編」 開隆堂 1989年
2)文部省:「コミュニケーションを目指した英語の指導と評価」 開隆堂 1993年
3)大下邦幸:「コミュニケーション能力を高める英語授業」 東京書籍 1996年


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