研究紀要第117号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研修 第3年次」 -043/117page

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III 授業改善を図る調査・実践研究( II )

小学校高学年体育

フィットネスを組み入れた体操の学習

〜A・A・Cを生かした体力づくりをめざして(3年次)〜

長期研究員 菅 井 明 人




1 研究の趣旨

フィットネス 注1 とは,「健康づくり,体力」という意味であり,スポーツの分野では行動体力のことを示す。最近では健康面に優れているという意味で使われることが多い。研究を進めるにあたり,フィットネスを「楽しく体を動かすこと」,「好んで運動に取り組むこと」,「仲間と豊かに関わること」,「体力づくりに取り組むこと」ととらえた。

平成10年12月に告示された学習指導要領では,児童の体力等の現状を踏まえ,心と体をより一体としてとらえる観点から,新たに自分の体に気付き,体の調子を整えるなどの「体ほぐしの運動」に関わる内容が示された。以上の事柄を踏まえ「体ほぐしの運動」の要素をフィットネスと考え,子ども自らが課題を持ち解決する力を育てるとともに,「楽しい体育」のよさを生かしながら体力づくりを図る体操領域の指導法を追究したい。具体的には,自分自身の体力を知り,自分にあったエアロビクス(Aerobics:有酸素性運動,エアロビックダンス,ジョギング,なわとび等),アネロビクス(Aserobics:無酸素性運動,ダッシュ,チュープトレーニング等)を選び,継続的,かつ負荷の比重を変えながらサーキット(Circuit)を組み,子どもの体力を向上させるあり方について,実践的に検証したいと考える。 Aerobics のA Anaeobics のA ,そして, Circuit のC をとって A・A・C とした。(以下,A・A・Cと略記する。)


注1 監修 宇土正彦「学校体育事典」大修館書店 1995年


2 研究の内容

(1) 1年次の研究

1. 小学校におけるフィットネスのとらえ方

2. 小学校高学年に適したエアロビクス・アネロビクスの種目選定とサーキットの組み方

3. A・A・Cを体育科学習にどのように組み入れるか

(2) 2年次の研究

1. 年間を通して,検証のための授業実践

2. スポーツテストの結果の分析

3. A・A・Cに関する形成的評価の実施及び分析

(3) 3年次の研究

1. 体操領域へ移行(この研究を体操領域に組み込み,十分な時間を確保する)

2. エクササイズの工夫(活動グループ,活動時間,ポールの重さ等)

3. 自分自身の体力を知り,子ども自らサーキットを組めるようにするための支援

4. スポーツテストの結果の分析

5. A・A・Cに関する形成的評価の実施及び分析

3 研究の実際

(1) 1年次の研究から

1. 小学校におけるフィットネスとは

ア 楽しくからだを動かすこと

イ 運動好きになること

ウ 仲間と豊かに関わること

エ 体力づくりに取り組むこと

以上の4点を小学校におけるフィットネスととらえた。

2. 小学校高学年に適したA・A・Cについて

ア A(エアロビクス:有酸素性運動)

○ エアロビック・ダンス,アクアビクス等

イ A(アネロビクス:無酸素性運動)

○ メディスンポールトレーニング

○ チュープ,ラダートレーニング等

ウ C(サーキット)の組み方


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