研究紀要第117号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研修 第3年次」 -046/117page

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4. A・A・Cに関する形成的評価の実施及ぴ分析

【グラフ3】より,平成9年10月の調査では,「なかよく」,「楽しく」,「精一杯」という項目が2.7以上の高い数値を示した。しかし,平成10年6月の調査では全項目の数値が下がっていることが分かる。これは,子どもたちがA・A・Cに対し飽きがきていると同時に,子ども自ら考え主体的にA・A・Cを行っていないからだと考察できる。しかし,平成10年9月の調査では,全体的に数値は伸びていることが分かる。これは,子ども自ら自分の体について知り,バイキング方式でサーキットを組んで実施したことが数値の伸びにつながったと考えられる。子どもにとって,パイキング方式のA・A・Cは情意面においても効果的だったと考える。

4 研究の成果と今後の課題

(1) 研究の成果

1. 3年目に体操領域に移行したことで余裕ができ,無理なく実施できたことは大変よかった。

2. メディスンポール,ラダー等を使用したりエアロビック・ダンスを取り入れたエクササイズを実施したりしたことは,子どもの興味・関心を高める点で効果的だった。

3. 子ども自身が自分の体力を知り,自分の手でサーキットを組む方法は,情意面を活性化するのに効果的だったといえる。

4. 新学習指導要領では,「体ほぐしの運動」に関わる内容が示された。このような点からも体操領域で実践できたことは有意義であった。

5. 体力づくりの面からスポーツテストでは,5年生時よりTスコアが落ちている種目でも,他のクラスと比ベると落ちている率が低いという結果が出たことはA・A・Cの効果があったものと考える。

(2) 今後の課題

1. A・A・Cのマンネリ化を防ぐという点から,エクササイズの工夫が常に必要である。また,子ども自らエクササイズを考えていくことも大事である。

2. 子どもにとっては遊び感覚で行っているA・A・Cではあるが,一つ一つ動きが正確により有効なものになるように検討する必要がある。

3. A・A・Cが手軽に授業に取り入れられるよう改善を加えていく必要がある。

4. この実践に入る前の子どもの実態(技能面,情意面)をもう少し明確にし,「体操領域」への気持ちの変化をとらえた上でエクササイズの工夫をしていくことが大事だと考えた。

最後に,本研究の推進にあたり,多大なるご協力をいただいた会津若松市立城南小学校の篠崎俊樹先生に厚く感謝申し上げたい。



<参考文献>

1)文部省:「小学校指導書体育編」東洋館出版社

2)福島県教育委員会:「平成9年度福島県児童生徒の健康,体力・運動能力の現状」

3)子どものフィットネス協会:「設立準備室資料」

4)窪田 登:「スポーツマンのための筋力トレーニング」(べースボールマガジン社1990年)

5)高橋健夫:「新しい授業研究の方法」(体育科教育大修館書店1996年9月号)

6)高橋健夫:「『体ほぐし』そのねらいと内容」(体育科教育大修館書店 1998年9月号)

7)田中一昭:「自分にあった運動づくりを楽しむ体燥の学習」(体育科教育大修館書店1998年9月号)


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