研究紀要第118号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -058/117page
A−5 真空中のプザー(簡易真空鈴装置) <課題Bの「実験群」> B−1 ポイススコープで音の振動観察 B−2 オシロスコープで音の波形観察 <課題Cの「実験群」> C−1 音のおおよその速さの観測 (3) 課題選択学習の展開
生徒は,自分の学習計画に従って,実験装置のおかれている各実験台に移動して,観察・実験に取り組んだ。
生徒の課題・実験の選択例を次に示す。
<課題・実験の選択例>
生徒a 生徒b 生徒c 第1時 A−2,A−5 C−1 B−1,B−2 ↓ ↓ ↓ ↓ 第2時 B−1,B−2 B−2,A−3 A−2,A−3 ↓ ↓ ↓ ↓ 第3時 C−1 A−4,A−5 A−4,A−5 4 結果と考察
課題選択学習の効果を,次の項目についての生徒の評価から調べた。
調査3.「課題選択学習に対する生徒の評価」
4:よくあてはまる
3:あてはまる
2:あまりあてはまらない
1:全くあてはまらない1 次のことで,意欲が高まった。
(1) 課題と実験を選択して学習したこと。
(2) 実験群のいろいろな観察・実験を行ったこと。
2 次のことで,思考が活発になった。
(1) 課題と実験を選択して学習したこと。
(2) 実験群のいろいろな観察・実験を行ったこと。
3 次のことは,音の理解に役立った。
(1) 課題と実験を選択して学習したこと。
(2) 実験群のいろいろな観察・実験を行ったこと。(1) 課題選択学習と思考活動との関係
図1 は,調査2.「思考活動の程度」の学級平均の変容を,各項目ごとに示したものである。
この結果から,事後では,事前に比べ思考活動が活発に行われたことがわかった。
図2 は,課題選択学習が,意欲の向上や思考活動の活発化にどのような効果があったかを,生徒の評価で調査した結果である。
図2 調査3. 課題選択学習に対する生徒の評価
調査3.−1「意欲が高まった」
この結果から,80%以上の生徒が課題と実験を選択して学習したことや実験群のいろいろな観察・実験を行ったことを高く評価したことがわかった。
特に,課題と実験の選択は意欲の向上で評価が高い。このことは,課題を課題意識に応じて選択させたことで,個に応じた学習活動が展開でき,課題解決意欲が高まったためと思われる。
また,「実験群」の観察・実験は思考活動の活発化で評価が高い。このことは,多様な生徒に対応できるように「実験群」を構成したことで,生徒が自分の課題を解決する最も有効な観察・実験を選択して行うことができたためと思われる。
これらのことから,課題選択学習は思考活動の活発化に有効であることがわかった。