研究紀要第118号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -060/117page
実践3
中学校 技術・家庭科
1 題材・対象・期間 ○ 題材 「回路計を用いた電気の測定」 ○ 対象 2年 男子38名 女子30名 計68名 ○ 期間平成10年11月〜平成10年12月 2 実習の工夫・改善
(1) 思考活動を活発にする工夫
事象理解の段階を踏まえて,実習の難易度を徐々に高めていけば,課題解決意欲が持続し,各段階で働く思考が活発になり,電気機器の点検に必要な知識や回路計の操作技能が高まると考えた。そこで,操作技能を獲得する過程をスモールステップ化した4段階の実習装置を開発し活用した。
(2) 実習装置の開発
身近にあるアイロンを題材に取り上げ,簡単な導通試験装置から電気機器の故障を発見するまでの回路計実習装置を開発した。
1. 導通試験練習装置
見えない部分でつながっている端子を導通試験で見つける装置である。回路計の測定値を比較・分類する活動を通し,回路のつながりの事実関係をつかめるようにした。
2. 電圧測定確認装置
直列回路と並列回路でワット数が異なる電球の明るさを観察し,電球にかかる電圧を測定する装置である。この測定値から,回路の接続と明るさとの相互関係をつかめるようにした。
3. 故障発見練習装置
簡単な電気回路の故障原因を回路計で見つける装置である。回路計の測定値と故障原因との因果関係をつかめるようにした。
故障個所を異にする8種類の故障発見練習装置は,裏側からも配線は見えないようにした。
故 障 内 容 故障1…導線の断線(1) 故障5…スイッチの故障 故障2…電池の消耗 故障6…導線の断線(3) 故障3…豆電球切れ 故障7…ソケット内部の断線 故障4…導線の断線(2) 故障8…回路の短絡 4. アイロン故障発見装置
アイロンの回路展開板に故障を起こすスイッチを取り付け,スイッチがどの部分の故障を起こすのかを見つける装置である。実物のアイロンでは,短絡や感電などの危険を伴うため,発熱体の代わりに豆電球が点灯するものにした。これまでの学習と関連付けて総合的に考えることができ,確かな知識と技術が獲得できるようにした。
故 障 内 容 スイッチ1…・パイロットランプの故障(断線) スイッチ2…・発熱体の故障(断線) スイッチ3…・自動温度調節器の故障(断線) スイッチ4…・電源コードの断線 スイッチ5…・屋内配線の断線(停電) スイッチ6…・アイロン回路の短絡(ショート) スイッチ7…・漏電(絶縁不良) 3 授業の実践
(1) 実習は,グループ単位で行い,グループの中では,回路計を操作する順番を決め,生徒全員が操作できるようにした。
(2) 回路計の目盛りの読み等を学習した後,各装置を次のように活用した。