研究紀要第118号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -064/117page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

図3 「思考活動の程度」の変容
図3 「思考活動の程度」の変容

この結果から,事後では,思考活動が活発に行われたことがわかる。また,図4は,「実験群」に対する生徒の評価の結果である。このことから,生徒は,全ての実験を高く評価していることがわかる。

図4 「実験群」に対する生徒の評価
図4 「実験群」に対する生徒の評価

これらのことは,「実験群」が,生徒の興味・関心の高い日常経験や先端的な技術を含む観察・実験で構成されていたためと考えられる。

特に, 図3 の「課題の把握」「結果の予想」「結果の考察」「まとめ」の変容が大きい。

これは,「実験群」を構成する実験の中に,仕組みが簡単なものや操作が簡便なもの,さらに,直観的にわかるものを選んで取り入れたためと考えられる。これらの実験によって,課題の把握ができ,結果を容易に予想できたことが,「課題の把握」や「結果の予想」の変容につながったと考えられる。

また,生徒は,ワークシートを活用して,「実験群」を構成する各実験を比較したり,新たな実験課題の考察を行った。図5は,そのワークシートに対する生徒の評価である。90%以上の生徒が,考える上で役に立ったと答えている。

これらのことから,生徒は,ワークシートを用い,実験結果をまとめて考えることによって,エネルギーイメージの関連付けを図ったことが,「結果の考察」や「まとめ」の変容につながったと考えられる。

図5 ワークシートに対する生徒の評価
図5 ワークシートに対する生徒の評価

(2) エネルギーのイメージ化

図6 は,エネルギー変換についての理解度を調べる事前テスト・単元テストの正答率の変容である。

図6 事前・単元テストの正答率の変容
図6 事前・単元テストの正答率の変容

 

この結果から,90%以上の生徒の正答率が,向上していることがわかる。また,次の表は,生徒の事後の感想の一部である。

○ エネルギーは様々な種類があることがわかった。
○ 身の回りにあるものほとんどが,エネルギーが変化して行われていることがわかった。
○ 私たちの身近にあるものがエネルギーの考えで1つにまとまることがわかった。

図6 と生徒の感想から,生徒は,既習の力学的エネルギ一や熱エネルギーから,広義のエネルギーへとイメージを膨らませ,エネルギーに対するイメージを深めつつあると考えられる。

5 成 果

○ エネルギーの変換過程が様々な「実験群」の実験を行うことは,エネルギーに対するイメージの形成を図るのに有効であった。

○ ワークシートに基づいて,「実験群」の実験を比較したり,応用例を考えたりしてエネルギーに対するイメージを総合的に関連付けることは,思考活動を活発にするのに効果があった。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。