研究紀要第118号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -065/117page

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実践5
高等学校 理科 地学IB

1 題材・対象・期間
○ 単元「地球と惑星の運動」
○ 対象 3年普通科文系コース(選択)
男子17名 女子19名 計36名
○ 期間 平成10年10月〜平成10年12月

2 観察・実験の工夫

(1) 思考活動を活発にする工夫

「地球と惑星の運動」の単元は,時間的,空間的なスケールが様々であり,授業の中で直接観察を行うことが困難な内容が多い。

そこで,自作天体写真スライドを使って日周運動を観察し,プラネタリウムで天体の運動の疑似的な観察を行い,さらにコンピュータを活用して,分析的にシミュレートする一連の学習を展開すれぱ,思考活動が活発になると考えた。

(2) 疑似体験の導入と工夫

1. 自作天体写真スライドの製作

福島市近郊で撮影した恒星の日周運動の天体写真スライドを自作した。このスライドは,日周運動を身近なものとして捉え,地球の自転によるものであることを確認することをねらいとして製作した。

2. プラネタリウムの活用

地球と惑星の運動について学ぶためには,長期間にわたる惑星や太陽,月の年周運動などを観察することが必要であるが,授業の中で観察を行うことは難しい。そこで,天体の運動の疑似的な観察を行うために,年周運動などを再現する機能を備えている福島市児童文化センターの大型のプラネタリウムを使用した。

プラネタリウムの活用

3. コンピュータを用いたシミュレーション

学習によって得た知識を,総合化するために,天体の運動を分析的にシミュレートできる市販のコンピュータソフトを活用した。

3 授業の実践

(1) 単元の導入の段階

1. 簡単な天体写真の撮影法である固定撮影法についての実習を行った。

2. 大型スクリーンに映し出された臨場感あふれる教師の自作天体写真スライドを観察した。

固定撮影法についての実習

(2) 単元の展開の段階

1. プラネタリウムは,惑星や太陽,月の軌道運動を正確に表すことができる仕組みになっていることを確認した。

2. 異なる緯度による日周運動の違いや,地球の歳差運動,太陽系の天体の年周運動などを観察した。

なお,プラネタリウムは,教師自身が機械操作し,生徒の反応に応じて,繰り返し天体の運動を再現したり,時間を短縮した天体の運動を再現したりした。

(3) 単元のまとめの段階

生徒自らコンピュータを操作して,天体の運動を再現し,学習内容を確認したり,新たな課題を解決したりするために,シミュレーションを行った。

シミュレーション

4 結果と考察

(1) 一連の疑似的な観察に対する生徒の評価

実施した授業に対する生徒の評価を,次に示す調査用紙(調査3.)を使って調べた。

調査3.「疑似体験の導入に対する生徒の自己評価」
次の項目について,それぞれあてはまる番号を1つ○で囲んでください。また,「地球と感星の運動」の授業についての感想を書いてください。
5:大変よくあてはまる
4:よくあてはまる
3:少しあてはまる
2:あまりあてはまらない
1:まったくあてはまらない
1 自作天体写真スライドを使った授業 を行ったことで
1. 地球と惑星の運動について,興味を持つようになった。
2. 以前より,意欲的に授業に参加するようになった。
3. 地球と惑星の運動を考える上で,参考になった。
2 プラネタリウムを活用した授業 を行ったことで
1. 地球と惑星の運動について,興味を持つようになった。
2. 以前より,意欲的に授業に参加するようになった。
3. 地球と惑星の運動を考える上で,参考になった。
3 コンピュータを用いたシミュレーションの授業 を行ったことで

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