研究紀要第118号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -066/117page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 1. 地球と惑星の運動について,興味を持つようになった。
 2. 以前より,意欲的に授業に参加するようになった。
 3. 地球と惑星の運動を考える上で,参考になった。
4 「地球と惑星の運動」の授業について,感想を書いてください。

図1 は,調査3.の項目1〜3について集計したものである。

図1 疑似体験に対する生徒の評価
図1 疑似体験に対する生徒の評価

5段階評価で段階5,4,3を選んだ生徒数の全生徒数に対する割合が,ほとんどの項目について90%を越えていることから,生徒は,疑似体験を取り入れたことを高く評価していることがわかった。

特に,段階5,4を選んだ生徒は,3つの疑似体験のいずれにおいても,項目3.の「考える上で,参考になった」という評価が高いことがわかった。

このことは,項目1.の「興味を持つようになった」という評価が高いことと合わせて考えると,疑似体験を導入した学習は,生徒の興味・関心を高め,考えようとする意欲を促し,思考活動を一層活発にするのに役立ったものと考えられる。

また,評価項目1〜3の中でも,特に評価項目2のブラネタリウムを活用した疑似体験に対する評価が高い。これは,大型で十分な機能を持つプラネタリウムによって,適宜,繰り返して再現された天体の運動が,リアルで実際の現象に近い体験ができたためと考えられる。

(2) 関心・意欲と思考活動の変容

図2 は,事前と事後での調査1.「関心・意欲の程度」と,調査2.「思考活動の程度」の個人の変容を表したものである。

事後では,ほとんどの生徒の関心・意欲と思考活動はプラスに変容した。

図2 関心・意欲と思考活動の変容
図2 関心・意欲と思考活動の変容

このことから,一連の疑似体験を取り入れた授業は,関心・意欲を高め,思考活動の活発化につながったことがわかる。

(3) 生徒の感想

次は,生徒の感想をまとめたものである。

○ スライドでは,星の動きが確認でき,自分でも撮影したいと思った。
○ 大きなプラネタリウムでの観察は,星の動きがとてもわかりやすく,ためになった。
○ 自分でコンピュータを操作し,いろいろと設定を変えて,星の動きを確認できたので,勉強になった。
○ 学習内容がわかりやすく,興味をもって授業に臨み,よく理解できた。
○ 授業で習ってから,家で星の観察をするようになった。

生徒は,疑似的な観察を取り入れた授業を高く評価しており,学習内容の理解に役立ったことがわかる。さらに,疑似体験の導入によって,生徒の関心・意欲は高まり,授業に積極的に取り組むようになった様子がうかがえ,日常生活での態度化につながった生徒もいた。また,地域社会の教育施設である福島市児童文化センターのプラネタリウムを活用したことが,学習効果を高めることに有効であることがわかった。

5 成 果

○ 自作スライドとプラネタリウムを活用し,コンピュータで分析的なシミュレーションを行う一連の疑似的な観察により,思考活動が活発になった。

○ 「家で星の観察をするようになった」という感想を述ベている生徒がおり,疑似体験が日常生活での態度化につながった。

○ 地域社会の教育施設を有効に活用したことは,学習効果を高めた。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。