研究紀要第118号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -068/117page

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調査3.「ワークシートの形式と活用に対する生徒の評価」

次の項目について,それぞれもっとも近いと思うものの番号に○をつけてください。
4:よくあてはまる
3:少しあてはまる
2:あまりあてはまらない
1:やくあてはまらない
1 1つ1つ確認しながら進める実験は考えやすい。 100%
2 今までに学んだことやわかったことを活用する実験は収り組みやすい。 92%
3 実験することで疑問点や課題を解決できた。 88%
4 予想や結果は記入しやすい。 82%
5 書き方はやさしい。 92%
6 考えたことやわかったことは表現しやすい。 65%

これらのことから,ワークシートの形式と活用の工夫は,生徒の考える意欲を高めることや,物質の粒子性との関わりからコロイド粒子についての理解を深めることにつながったと考えられる。

(2) 思考活動の程度の変容

図3 は,事後に,調査2.「思考活動の程度」を調査し,事前の調査と比較したものである。

図3 「思考活動の程度」の変容
図3 「思考活動の程度」の変容

全体として,どの項目も事後のほうが高かった。特に,「結果の予想」「自分で解決」「まとめ」の項目の変容が大きい。

これは,ワークシートの形式と活用を工夫したことで観察・実験のプロセスが明確になり,筋道立てて考えることができたためと考えられる。

(3) 思考活動の程度と生徒の評価との関係

事後の,調査3.「ワークシートの形式と活用に対する評価」の平均と,調査2.「思考活動の程度」の平均との間にはかなりの相関(相関係数0.56)がみられた。

さらに,調査2.「思考活動の程度」が,事前に比べ事後に高まっていることと合わせて考えると,ワークシートの形式と活用の工夫は,生徒の思考活動を活発にすることに有効であった。

(4) 理解の程度の変容

図4 は,調査4.「理解の程度を調べるペーパーテスト」における事象理解の段階別にみた問題の正答率を,事前と事後で比較したものである。

図4 理解の程度を調ベるテスト成績の変容
図4 理解の程度を調ベるテスト成績の変容

いずれも伸びがみられた。また,調査3.「ワークシートの形式と活用に対する生徒の評価」の平均と,事後テスト正答率の間には,かなりの相関(相関係数0.44)がみられた。

このことから,ワークシートの形式や活用を工夫したことが,知識・理解の獲得に有効であったことがわかる。

5 成 果

○ ワークシートの形式と活用を工夫したことにより,生徒は,事象を粒子の大きさや性質と関連付けて考えることができ,思考活動は活発になった。

○ 予想や結果をまとめる段階を工夫したワークシートを活用して観察・実験を行い,各過程で教師が形成的な評価をしてきめ細かなフィードバックを行うことは,各段階の事象理解が深まり,確かな知識・理解の獲得に有効であった。


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