研究紀要第119号 「情報ネットワークの教育活用に関する研究」 -078/117page
計作業を行い処理プログラムに送る。
集計作業の流れ 1. データの確認 表計算ソフトで読み込み,データの状態を確認する。 2. データの編集 エディタでデータの編集を行い,データべースソフトで問題なく動作するようにする。 3. データの処理 編集したデータをデータべースソフトで読み込み,処理を行う。 (3) システム使用に関してのアンケート
「パソコン活用状況等に関する調査」をこのシステムからの回答者に対して意見を求めたところ,34名から回答があった。本システムに対して肯定的な回答は,94%と多かった。6%の否定的な回答の理由としては,インフラが十分に整備されていないこと,回答者に金銭的負担がかかることの2点であった。しかし,今後インフラが整備され,全ての学校が教育センターを拠点としてインターネットに接続されれば解決できる有効なシステムになると考える。
IV 研究のまとめ
1 データ集計システムの可能性と課題
(1) 成果
○ インターネットを用いることで,どこからでも情報の収集が行える。
○ 郵送に関わる費用が節約されるため,安価にデータ収集が行える。
○ UNIXサーパ上の一つのファイルに蓄積するため,複数人が関わっても消去や改変の恐れがない。
○ 場所を選ばず行えるため,膨大なデータベースを作成する際,復数人で分担して行える。
○ 基本システムの最小限の変更で様々な使用目的に対応した集計システムとすることができる。
○ 収集したデータは,短時間に集計・処理が可能となり,労力の軽減化が図られる。
(2) 課題
○ インターネットを用いるため,セキュリティは100%完全とは言えない現状にある。
○ システムを動作させるためにはCGIの知識が必要となる。
○ ホームベージからだれでも簡単にデータを送ることができるため,情報に対する責任の所在が曖昧になる恐れがある。
2 データ集計システムの開発を通して
これまでの学校におけるコンピュータ活用は,児童生徒が1台のコンピュータに向かってドリルを行ったり,教員が校務処理をしたりしていた。これは,自分だけのフロッピーディスク作り,自分だけのデータ作成であったように思われる。しかし,ネットワークは,複数人が様々な角度からデータを見て活用する環境を構築した。ネットワークがインターネットにつながっていれば,世界中の人達と情報を共有することができる。今後のコンピュータ活用は,ネットワーク通信が前提となり複数のコンピュータが互いにデータを共有し活用していくようになることが予測される。
共有化の前提として,できるだけ多くのコンピュータですぐに活用できるよう機種やソフトに依存しないデータ形式にしておくことが大事である。したがって,その基盤を育成するため教育センターやその他の機関で研修の機会を設けることが必要である。なお,インターネットに関わる様々な問題が取りざたされている今,ネットワーク上で公開できる情報と公開できない情報とを明確に分離させる基準が必要である。個人のプラィバシーが漏洩したり,誤った情報が流れたりして,混乱を招かないよう情報に対する認識を深めていかなければならない。
【参考文献】
○「UNIXコマンドポケットリファレンス」 中西 隆著 技術評論社 ○「そのまま使えるCGI」 フォレスト著 エーアイ出版 ○「Perl/CGIプログラミング&サンプル」 大島智樹,平尾潤一著 秀和システム ○「HTMLタグリファレンス」 磯野康孝,蔵守伸一著 ナツメ社