研究紀要第119号 「情報ネットワークの教育活用に関する研究」 -085/117page
授業の中で手軽に活用できるソフトウェアの開発
〜理科におけるデータ変更・追加型教材の開発〜
長 期 研 究 員 堂 山 昭 夫
研究の要旨 社会の変化に主体的に対応していく能力を育成するためには,広い視野から問題を分析したり解決したりする方法を学習する必要がある。また,学校教育における今日的課題の1つとして「高度情報通信社会における情報リテラシーの育成」が掲げられ,コンピュータを効果的に活用した学習指導の充実が求められている。 本県の学校教育におけるコンピュータ活用状況等調査によると,特に小・中学校においては,徐々に機器が更新されるとともにWindows等の導入によって操作性が飛躍的に向上してきていることがうかがえる。しかし,これらの環境に対応した教育用ソフトウェアは不足しているのが現状であり,日々の授業で手軽に活用できるソフトウェアの開発が強く求められている。 本研究は,このような要請に応えるために欠くことのできない教育用ソフトウェアを開発・提供するとともに,学習活勤を支援するコンピュータ活用のあり方を模索し,提案しようとするものである。 開発ソフトウェアは,Windows環境のもとで他のソフトウェアを介することなく手軽に活用できるものであり,提示内容を変更したり学習活動の成果を追加できるよう工夫し,柔軟で幅広い活用がきるよう配慮した。本ソフトウェアの活用を通して,児童生徒が問題解決的,体験的な学習活動により一層意欲的に取り組むことを期待するものである。 I 研究の趣旨
児童生徒主体の学習,個に応じた学習の展開を図る上で,コンピュータは有効な機能を備えている。特に,マルチメディアを使用したソフトウェアは,様々な情報を1つのモニタ上に提示できたり,教材の提示順序が柔軟であったりするため,児童生徒が自ら学習内容を選択できるなど,学習意欲を喚起し高めていく上で有効な特徴を備えている。また,児童生徒の思考活動や表現活動を豊かにしたり,興味・関心に応じた調ベ学習,探求学習,発展学習を広がりのあるものにするなどの効果も期待できる。
しかし,このような学習が展開されるには,多様な児童生徒の実態に応じて指導過程を弾力的に構成するとともに,個に応じた数多くの教材や児童生徒自らが学習の成果をまとめたり,表現したりする活動を支援できるような教材が必要となる。
昨年度は,Windows環境のもとで手軽に活用できる「進路学習支援ソフト」を開発した。セットアップ等の面倒な準備も必要なく簡単に利用できるもので,現在多くの学校に提供し活用されているが,本主題に迫るためさらに以下のような開発の視点を加え,より手軽で柔軟に活用できるソフトウェアの開発を目指して研究を進めることにした。
○ 児童生徒の実態や指導者の意図に応じて提示したい内容を柔軟に変更できること。 ○ 児童生徒が学習活動によって得た情報を整理・分類し,新たなデータとして蓄積できること。 さらに,教材の開発を通して児童生徒の問題解決的・体験的な学習活勤を支援するコンピュータ活用のあり方について考察し,提案できればと考える。