研究紀要第121号 「「生きる力」としての「学力」を育てる学校教育の創造」 -003/076page

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○ 自分の目標を持つことの大切さに気付いたり,価値について理解したりすること。  ←  生きようとするカ
 ・ 学習意欲の高まりが前提となるが,そのためには子供―人―人の問題意識を大切にすることである。子供の問題意識の喚起・深化・発展を図るための指導法を工夫する。
○ じっくりと考え,自分が納得できる子供の学びが保障されていること。  ←  活かすカ
 ・ 子供たち―人―人の学習二―ズの把握に努め,魅力があり,しかも必然性のある教材の開発,学習対象・方法との出合いの場を工夫する。
 ・ 基礎・基本の徹底を基盤とした学習スキルの指導を重視する。
○ 友達との学び合いがあり,他の知恵を生かす場面が工夫されていること。  ←  共に生きるカ
・ 自他の痛みや思いやりを体験的に学習し,共に学び合い,認め合い,共に高め合うこと のすばらしさを感得できる集団活動の場や機会を工夫する。

III 研究の内容

1 研究の経過

 (1)1年次の研究

平成9年度,「生きるカ」の育成を目指す教育改革の動きに対して,私たちは,全所体制を取り,社会の情勢や子供たちの現状,これから求められる教育課題や県の重点施策等を多面的に検討した。そして,教育センターとしての共通の「研究課題」を設定し「『生きるカ』としての『学カ』」を育てるために「授業の改造」を切り口として研究に取り組んだ。

 (2)2年次の研究

 専門分野を生かした部単位での研究や個人研究を通して,「研究課題」解決のための方策の解明に取り組んだ。研究協カ校の協力を得て,学校の実態の把握や授業における子供の変容をもとに具体的な授業改善の方策を検討した。また,教材の開発や教員研修の在り方などについても研究した。

2 3年次の研究内容

 (1)「生きるカ」をはぐくむ教育課程に関する研究

 「総合的な学習の時間」の理念を教育課程にどう具現するかについて研究する。

 (2)授業改善に関する調査・実践研究

・各教科の特性を踏まえた,授業改善を図るため の調査研究や実践研究を推進する。

・思考活動を活発にして知識・理解,技能を獲得させる観察・実験,実習の在り方を研究する。

 (3)情報ネットワークの教育的活用に関する研究

 各学校における教育活動や教職員の研究・研修等の支援及び教育関係機関との連携,多岐にわたる教育用データベースの構築と利用・活用について研究する。

 (4)豊かな人間関係をはぐくむ指導援助に関する研究

 「自己肯定感を高める」「他者とかかわろうとする思いを伝える技能を高める」の2つの視点から子供たちの「人間関係をつくるカ」の育成を図る実践・検証を推進する。

3 研究の概要

 「生きるカ」は,学校の授業ばかりでなく,地域社会,家庭生活などと連動して育成されるものであるが,本研究は,「生きるカ」を育てるための授業の在り方に焦点を絞って研究課題に迫るものである。

 授業の改造を,「教師の改造」,「教材の改造」,「学級の改造」,そして,「授業の改造」という4つの視点から,下の図のように捉え,「生きるカ」としての「学カ」を育てる授業の改造を明らかにしようとした。


図


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