研究紀要第122号 「「生きる力」をはぐくむ教育課程に関する研究」 -006/076page
II 研究内容
1 実態調査集計,分析
(1)調査対象,調査期日等
「総合的な学習の時間」に関する課題を明らかにするためアンケート調査を実施した。
調査対象者は,福島県教育センター専門講座3.(学校経営A講座,学校経営B講座,教育研究法講座)を受講の98名とした。なお,小・中・高の各学校の教頭,教務主任,学年主任,研修主任,学級担任など幅広い構成となっている。
調査は,平成11年6月(前期)と平成12年1月(後期)の2回にわたって行い,2回の調査を比較検討した。
(2)調査結果
(ア) 「総合的な学習の時間」に関する教育課程編成上の課題について
「総合的な学習の時間」に関する教育課程を編成する場合,どのような課題があるのか11項目の選択肢を設定して尋ねた。
その結果,前期と後期の両方とも高い割合を示したのは,「学習の目標や内容の明確化」「時間割への位置付け」「児童生徒の興味・関心」である。そのうち,「時間割への位置付け」は後期では最も高い割合を示し,特に大きな課題として挙げられている。
小学校では「地域の教育カの活用」,中学校では「生徒の興味・関心」,高等学校では「担当教員の配置」が他の校種に比べると高い割合を示しており,各校種の特徴と言える。
(イ)「総合的な学習の時間」における組織運営上の課題について
次の調査として,「総合的な学習の時間」を実施する場合,組織運営に関してどのような課題があるか尋ねた。
2回の調査とも「教職員の理解と協カ」が最も高くなっているが,後期の調査では,その割合がやや減少しており,研修等で教職員の理解が進んでいる状況がうかがえる。実際に,次に示す「総合的な学習の時間」に関する研修の取り組み状況の調査結果からも,「学校全体で研修を実施」が20%近く増えている。
ただ,完全実施が他の校種より1年遅い高等学校では,後期においても「研修を位置付けていない」学校があり,先に示した「組織運営上の課題」についての調査からも,「他校との情報交換」の必要性がうかがえる。