研究紀要第122号 「「生きる力」をはぐくむ教育課程に関する研究」 -010/076page

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(3)「総合的な学習の時間」の具体的な展開の視点

―小 学 校― 

 アンケート調査の結果,小学校では,平成12年度に30時間以上の実践を試みる学校がほとんどであることが明らかになった。各学校では,新学習指導要領を指針としながら,地域や学校,児童の実態に応じて実践を試行し,より適切な学習の在り方を求めていくことが大切になる。ここでは,3学年から始まる小学校の「総合的な学習の時間」を実施する際の展開の視点を述べる。

視点1 児童の発達段階を十分に踏まえた学習活動を教科等の学習と関連させて展開する

 「総合的な学習の時間」は,各教科等で身に付けた知識や技能を相互に関連付け,総合的に働くようにすることを目指している。従って,各教科の基礎的な学力を十分に習得させることが前提となる。
 そのために配慮すべき点は次のとおりである。

1 学校の実態や地域,児童の実態に応じた具体的な目標・内容を設定し,吟味する。
・各学校における課題を明確にする。

2 学年や学習内容に応じて児童の学習意欲が持続するような単元の時数配当や集中的な実施時期などの検討を行う。

3 小学校の各教科等の学習内容の構造を踏まえ,その関連性や関係付けを図っていくための学習内容を十分に検討する。

4 「総合的な学習の時間」導入期の指導及び各学年の導入単元における指導援助の軽重を考慮する。

平成12・13年度の移行期間の取り込み
平成12・13年度の移行期間の取り込み

視点2 児童に基礎的な素養を身に付けさせるために必要な基礎的な学習訓練を押さえる

 生活科では,教科目標の中に「〜生活上必要な習慣や技能を身に付けさせ自立への基礎を養う。」とあるように,社会や自然,人とかかわり合う中で,生活習慣や技能をとらえて指導することをねらいとしている。当然のことながら,体験的な学習を重視する「総合的な学習の時間」においても,生活上必要な習慣・技能,学習スキルの指導は大切である。

 指導計画作成の段階で,生活科における学習成果を踏まえつつ,児童の発達に応じた十分な検討が必要となる。

1 学習スキルの指導

 児童に身に付けさせたいスキル(実践技能)を学校としてしっかりと押さえる。コンピュータやインターネットを活用した情報活用スキルなどを身に付けさせることも,これからは必要になる。

2 基本的な生活習慣,マナーの指導

 社会や自然,人とかかわりながらよりよく生きていくために欠かせない生活習慣やマナーは,「総合的な学習の時間」と連動させてしっかり指導することが求められる。

図 
図

3 体験学習マニュアル等の作成

 校外での活動では,予期せぬ事態が起こることも考えられる。児童の安全確保については,事前の指導が欠かせない。

視点3 人材の活用や多様な学習形態における指導体制や指導構想の共通理解を図る

1 ナレッジマネジメント(個人の知恵を組織に生かす)の考え方を生かした人材(ゲストティーチャーとして)の活用を積極的に図る。

2 異年齢集団,学年単位の活動,グループ活動,個々の活動などの多様な学習形態に対応するために,T・T等の工夫も組み入れながらしっかりとした指導体制を構想していくことが大切である。


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