研究紀要第122号 「「生きる力」をはぐくむ教育課程に関する研究」 -013/076page
4 時間割についての考察 (中学校の例)
(1)時間割編成の基本となる事項
時間割の設定は,教育課程編成の原則(学習指導要領第l章第1の1)を受け,学校の教育目標達成に向け教育効果が高まるように指導内容を選択,組織し,それに必要な授業時数を定めて編成していくことになるが,下記の項目(内容)について全職員が共通理解のもとに方針を決めておかなければ,時間割編成はできない。
1 総合的な学習の時間と選択教科等に充てる時間の決定
下の表のように,「総合的な学習の時間」を何時間実施するかは,選択教科の実施時数に左右され,学校の特色を生かした編成が必要になってくる。
第1学年 第2学年 第3学年 選 択 教 科 0〜30 50〜85 105〜165 総合的な学習の時間 70〜100 70〜105 70〜130 計(選択+総合) 100 155 235 2 「総合的な学習の時間」の年間・月別指導計画,週時程への位置付けを明確にする
ア 年間指導計画への位置付けの工夫
継続型…各月に活動時間を設定する。
集中型…いくつかの月に活動時間を集中する。
併用型…ある内容は各月に継続して扱い,別の内容は他の月で集中して行う。
型 4月 5月 6月 7月 継続型 ○ ○ ○ ○ 集中型 ― ◎ ― ◎ 併用型 △ △ △◎ △ イ 月別指導計画への位置付けの工夫
継続型…ある活動を毎週継続して実施する。
集中型…ある活動を1〜2の週に集中して実施する。
併用型…ある内容は毎週継続して実施し,他の内容をどこかの週で並行して実施する。
循環型…いくつかの内容を決まった週に位置付けて,定期的に繰り返して実施する。
型 1週 2週 3週 4週 継続型 環境 環境 環境 環境 集中型 ― 環境 ― 環境 併用型 国際 国際 国・環 国際 循環型 国際 環境 情報 その他 ウ 週時程への位置付けの工夫
1日集中型…取り上げる課題の活動をある曜日に集中して時間設定する。
全曜配分型…取り上げる課題の活動を毎日の時間割に位置付けて設定する。
分散型………取り上げる課題の活動を週の2〜3の曜日に位置付けて設定する。
併用型………ある課題の活動については毎日短時間ずつ実施し,別の課題については週のどこかで集中的に取り上げたり2〜3の曜日に分散して扱ったりするなど,併用して設定する。
型 月 火 水 木 金 1日集中型 ― ― ― ◎ ― 全曜配分型 △ △ △ △ △ 分 散 型 ○ ○ ○ 併 用 型 △ △ △ △○ △ ※ ◎…複数時間 ○…1 単位時間 △…1 単位時間未満(20〜30分)
3 年間標準授業時数が35で割り切れない教科の運用
<考え方 1> 年間を通して同じ時間割を編成し,不足時数の生じる教科を組み合わせて年間で調整する案
<考え方 2> 年間を通して同じ時間割を編成し,不足時数の生じる教科を組み合わせて学期ごとに調整する案
<考え方 3> 学期ごとに時間割を編成する案
<考え方 4> モジュール方式を取り入れる案
50分の単位時間を25分という短い時間に分割し それを基本単位(モジュール)として,それを授業の内容や方法に照らし組み合わせて授業時間を設定しそれを基本にして時間割を編成する。
<その他>
* ロングサイクル方式
授業の時間割を2週間とか4週間をサイクルにして組む。
* タイムバンク(時間銀行)方式
あらかじめ決められたプラン通りに授業を展開するのではなく,生徒の相互作用に応じて,授業の流れを絶えず変更しながら進めるため,伸縮した時間を記録しておき,学期または年度末で調整を図る。
* プロック方式
授業の流れに応じて授業の終わり方を弾カ的にすることを可能にする。