研究紀要第122号 「「生きる力」をはぐくむ教育課程に関する研究」 -014/076page
(2)時間割編成の具体例
下の表は,年間の授業時数と週あたりの時数をまとめたものである。この表からわかるように,標準時数が年間週数の35で割り切れない教科があり,年間同じ時間割(同―の週あたりの時数)では過不足が生じてくる。
区分 必須教科の授業時数 道徳 特活 選択 総合 総授
業時国語 社会 数学 理科 音楽 美術 保健
体育技・家 外国語 第1学年 140 105 105 105 45 45 90 70 105 35 35 0〜30 70〜100 980 週あたり 4 3 3 3 週1+10 週1+10 週2+20 2 3 1 1 0〜30
時間2〜週2
+3028 第2学年 105 105 105 105 35 35 90 70 105 35 35 50〜85 70〜105 980 週あたり 3 3 3 3 1 1 週2+20 2 3 1 1 週1+15
〜
週2+152〜3 28 第3学年 106 85 105 80 35 35 90 35 105 35 35 105〜155 70〜130 980 週あたり 3 週2
+153 週2
+15週2〜週4+25 2〜週3
+2528 そこで,(1)の3で示した<考え方l>から<考え方4>の案について具体例を示す。
「総合的な学習の時間」と選択教科等に当てる時間については,学校や地域・生徒の実態に応じて編成できるように合計時数(1年100時間,2年155時間,3年235時間)で考えた。
<考え方 1> 年間を通して同じ時間割を編成し,不足時数の生じる教科を組み合わせて年間で処理する案
年間を通して同じ時間割にしたとき,不足時数の生じる教科と不足時数は次のとおりである。
1学年 音楽10時間 美術10時間 保健体育20時間 選択と総合30時間 2学年 保健体育20時間 選択と総合15時間 3学年 社会15時間 理科10時間 保健体育20時間 選択と総合25時間 そこで不足時数を解消するために,年間週数の35になるように,上記の不足時数の教科を組み合わせると次のようになる。
1学年 A:音楽10時間+美術10時間+選択と総合15時間
B:保健体育20時間+選択と総合15時間2学年 C:保健体育20時間+選択と総合15時間 3学年 D:社会15時間+保健体育20時間
E:理科10時間+選択と総合25時間上記のように不足時数のでる教科を組み合わせた時間を調整時間として,各学年の各教科の週あたりの時数をまとめると次のようになる。
区分 必須教科の事業時数 道徳 特活 選択
&総調整
時間総授
業時国語 社会 数学 理科 音楽 美術 保体 技家 外国語 第1
学年4 3 3 3 1 1 2 2 3 1 1 2 2 28 第2
学年3 3 3 3 1 1 2 2 3 1 1 4 1 28 第3
学年3 2 3 2 1 1 2 1 3 1 1 6 2 28 この時数をもとに,各学年ごとの時間割を作成した例を以下に示す。
時間割の例 第1学年
時間/曜日 月 火 水 木 金 1 国 技 国 選・総 国 2 社 技 社 国 保 3 数 英 数 社 英 4 理 道 理 数 理 5 音 学 保 英 調 B 6 美 選・総 調 A 時間割の例 第2学年
時間/曜日 月 火 水 木 金 1 国 保 国 選・総 調 C 2 社 技 社 国 道 3 数 技 数 社 英 4 理 英 理 数 理 5 音 学 保 英 選・総 6 美 選・総 選・総 時間割の例 第3学年
時間/曜日 月 火 水 木 金 1 国 保 国 選・総 調 D 2 美 技 社 国 調 E 3 数 英 数 社 理 4 理 道 保 数 英 5 音 学 選・総 英 選・総 6 選・総 選・総 選・総 * 調整時間A〜Eは,年間を通して,教科の内容や行事等を考慮しながら年間指導計画の中に位置付けて行うようにする。
このように,年間を通して同じ時間割を作成することにより,次のようなメリットが考えられる。
・時間割の変動を少なくすることによって,生徒の混乱を最小限にとどめることができる。
・現行の時教配分と考え方がほぼ同じなので,時間割編成がスムーズに行われる。
・講師などの配置や時間数,運営においても不都合が少ない。
・年間を通じて「総合的な学習の時間」「選択教科等」を変動なく行うことができ,教員の担当配置や実施時間を確保しやすい。<考え方 2> 年間を通して同じ時間割を編成し,不足時数の生じる教科を組み合わせて学期ごとに調整する案
この案は,上記に示した<考え方1>と同じように年間を通して同じ時間割を作成するが,総合的な学習の時間を集中して行ったときなどを考慮し不足時数の生じる教科を学期ごとに時数を調整する案である。
各学期ごとの週数は,学校行事や祝祭日を考えて,