研究紀要第123号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究」 -018/076page
国標準診断的学カ検査・NRT」(図書文化社)を基に,「学力到達度調査に関わる研究」の調査分析を通して,本県の児童生徒の学力の実態を把握し本県の学カ到達状況の全国における位置付け,成績分布の特徴,長所・短所を明らかにした。特に,平成9年度には,到達状況の低い領域や分野について,指導方法を改善するため,「授業改善に向けて」として指導例を提示した。
この指導例をベースにして,昨年度から授業改善に向けた実践研究をしてきたが,今年度は,中学校2年国語・数学・英語について以下の内容を中心に行ってきた。
国 語 「単語の活用の理解」
実践例 生徒と作る活用の表数 学 「1次関数を中心とした関数指導」
実践例 1次関数の式の理解等英 語 「話すこと」
実践例 指導計画や練習活動の工夫(2)「授業改善を図る調査・実践研究(II)」
情意面・技能面・認知面の能力を育成する授業改善を図るためには,様々な視点からの取り組みが必要であり,教科の特性も考慮しなければならない。
したがって,児童生徒の勢力,気付き,意欲などを十分考慮し,驚き,感動,満足感,成就感が得られる知的・技術的な学習を展開すると同時に,その成果を,既知のものと結び付け,創造的に発展させながら,生きて働く力を形成させていくことが大切である。
その際,指導計画,教材,児童生徒や教師の意識,授業設計と評価などの面に配慮した授業改善が必要である。
今年度は小学校生活科,高等学校保健体育科,高等学校芸術科(美術)において,次の内容で,調査・実践研究を行ってきた。
小学校生活科では,イメージマップ活用の可能性を探り,その研究を踏まえながら,子どもの実態や変容を把握し,情報の収集,表現活動の活性化のためにイメージマップ活用の授業を実践した。
高等学校保健体育科では,生徒の自主的・自発的な活動を促し,生涯スポーッに結び付く能カや態度等を身に付けられるようにするため,選択制授業に評価システムと役割行動を取り入れ,授業改善を図った。
高等学校芸術科(美術)では,新学習指導要領に新しい分野として加えられた「映像メディア表現」の可能性と課題点,さらには表現活動とメディア・リテラシーのつながりについて考察した。3 まとめ
(1)「授業改善を図る実践研究(I)」
平成9年度に提示された指導例を基にして,平成10年度と同様に実践研究を行った結果,次頁からの報告にあるようにそれぞれの教科において弱点、と考えられた領域や分野について,指導の効果がみられた。
今後,この研究をこれからどう発展させていけばより効果的か,また,今回取り上げていない弱点領域についてどのように研究を進めたらよいか,などを検討していきたい。(2)「授業改善を図る調査・実践研究(II)」
学カは,情意面・技能面・認知面が相互に関連しながら向上するものである。これらのことを考慮して指導法を工夫したことにより,児童生徒の興味・関心,意欲を高め,主体的活動を促す授業として改善が図られた。
今後においても,各教科の持つ特性を考慮しながら,学力向上のために,様々な面から授業改善に向けての研究に取り組んでいきたい。<参考文献>
1) 福島県教育センター:「研究紀要Vo1・28」 (平成10年度)
2) 福島県教育センター:「福島県の児童生徒の学カの到達状況に関する研究 ―小学校5年・中学 校2年の調査から―」 (平成9年度)