研究紀要第123号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究」 -019/076page

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II 授業改善を図る実践研究(I)

中学2年国語

1 研究の視点

 平成9年度までの調査の結果,「言語事項1」(文法)が大きく全国平均を下回っており,中でも,「単語の活用の理解」が特に低いことが分かった。そこで,以下の視点で研究を進めた。
○ 文法の学習に対する生徒の抵抗感を取り除く。
○ 「単語の活用の理解」を高める手立てを工夫する。

2 実践研究

(1) 授業構想

 あらかじめ準備された活用の表に,与えられた課題(語)の活用語尾を書き入れていき,完成させるというような文法の学習だけでは,学ぶ意義が見いだせず,意欲がもてないということになってしまうのではないかと考えた。
 そこで,今回の研究では,動詞の活用の規則性について,活動を通して生徒自らが気付けるようにしたいと考え,下記のような授業を構想した。

1(○囲み)導入をエ夫する

 生徒に,動詞は後に続く語によって規則的な変化をするということに気付かせるため,次のような導入を考えた。
 授業の冒頭に,これから,今日の課題をノートに 書きます 。」「さあ, 書こう 。」「やっぱり 書くの をやめようかな。」「何, 書かない。 」「 書け 。」などと,寸劇のような形で生徒に語りかけながら,下線のついた「書く」を活用させた言葉(続く語も含む。)を書いたカードを黒板に提示していく。
 このことにより,生徒は,動詞は形が変化するということに気付き,この時間にどのような学習をするのかについて,大体のイメージをもつこともできる。
 さらには,活用語尾以下の色を,語幹の黒色とは変えて青色にして提示することは,これからの学習活動を円滑に進める上で効果的であろうと考えた。

2(○囲み)語幹カードを配付する

学習班ごとに封筒に入れた語幹だけが書かれたカードを配付する。(「聞く」と「飛ぶ」)

3(○囲み)動詞を活用させる

 生徒たちは,教師の「言葉の形を変えよう。」という指示と,導入における教師のカードを手がかりに,班で話し合いながら,活用語尾と続く語を青ぺンでカードに書き入れていく。

4(○囲み)カードを分類し規則性を見付け出させる

 できたカードをすべて黒板に磁石ではった上で,授業の目標である活用を整理するために,可能動詞や音便,方言等は別の機会に学習することを告げて省き,活用語尾を赤丸で囲ませるようにする。生徒たちは活用語尾に着目し,平仮名の1文字目が同じもの同士に分類する。次に「聞く」は,カ,キ,ク,ケ,コ,つまりカ行におけるア段,イ段,ウ段,エ段,オ段に活用することに気付き,順に並べ替えることができる。

5(○囲み)活用形の名称を説明する
 分類したカードの各群ごとの代表を使い,語幹と活用語尾,続く語に切り分け,続く語に着目させた上で「これらの形ごとに名前を付けよう。」と,生徒が納得できるよう活用形の用語を説明する。

6(○囲み)カードを使って活用表をつくる
 続いて,(オ)のカードを使って並べ替えると, [資料1のような,活用の表の基になるものをつくることができる。初めに表があり,「未然,連用,終止…」と覚えなくてはならないということではなく,五段活用のアイウエの順に並べたのが活用の表なのだということに気付かせる。

[資料1]
[資料1]

7(○囲み)活用形と活用の種類を説明しまとめる


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