研究紀要第123号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究」 -020/076page

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 ここまでの学習を生かして,活用表を完成させる。そして,黒板に提示した活用表を使って活用の種類について説明し,まとめる。

(2)授業の実際

 3(○囲み)において,生徒たちは,教師の「(飛ぶ)という動詞は,どんなふうに形が変わるのか,グループで話し合って,できるだけたくさん書いてください。」という指示で,それまで教師の発問に反応を示さなかった生徒も含め,多くの生徒が意欲的に話し合いに参加していた。
 「ああ,なるほど。」と,友人の出した答えに感心したり,「(飛ぼう)って,早く書いて。」と他のグループと競い合うようにカードに書いていたり,「飛(と)…,飛(と)…,飛(と)…」「あと,何かないかな。」と熱心に言葉を探したりしていた。
 その後,教師は,―番たくさん書けたグループのカード(「飛んだ」「飛ぶとき」「飛びます」「飛ばす」「飛ぼう」「飛べ」「飛ぶ」「飛ばせ」「飛べない」「飛ばない」)を黒板に磁石ではり,他のグループの反応も確認した。

 4(○囲み)では,教師の,「青く書いたところで決まり(規則)を見付けて,ここが決まりになっていると思うところに赤丸を付けてください。」という指示で,生徒たちは,グループごとに自分たちが書いたカードを使って,すぐに,「飛びます」や「飛ぶとき」の「ます」や「とき」などの続く語を除いて「飛び」の「び」などの活用語尾に着目し 赤丸で囲んだ。これによって「飛ぶ」は,バ,ビ,プ,べ,ボ,つまりバ行におけるア段,イ段,ウ段,エ段,オ段に活用することに気付くことができた。
写真

 ここでは,「飛べる」のような可能動詞や音便,方言等は,別の機会に学習することを告げ,分けておくことも,忘れてはならないポイントである。
 また,この活動には,すべての活用形が出そろいやすいように多くのカードを集めるためと,時間短縮のために,黒板にはったカードを使い,生徒全員で考えていく方法も考えられる。

 5(○囲み)では,自分たちが書いたカードを基にした「活用形」についての説明だったので,意欲的に聞いていた生徒が多かった。

 7(○囲み)では,まず,個別に活用表の空欄に答えを書き入れていった。五段活用の動詞「話す」「遊ぶ」については抵抗なく書くことができた。その他の「活用の種類」の動詞「見る」「受ける」「来る」「する」についても,少し戸惑いはあったものの,本時で学習したことを生かし,「続く語」を手がかりにして活用語尾を表に書き入れていくことができた。続いて,黒板にはった活用表を使って答えを確認し,「活用形」と「活用の種類」について説明したことにより,両者を区別することができるようになってきた。

3 実践をふりかえって

(1) 生徒の学習志欲について
 事後調査によると,事前に比べ,わずかだが文法の学習を好む方向へ変容した。特に事前調査で「とても嫌い」「嫌い」と回答していた生徒の半数以上が望ましい方向へと変容していた。
 また,生徒は,教師の話を聞くときよりも,今回のように,小グループで話し合ってカードに書き,自分たちで規則性を見付ける等の活動をしているときの方が学習意欲が高まる,ということが観察を通して明らかになった。

(2)「単語の活用の理解」は高まったか
 事後テストの結果は,事前テストと比べると,大きく高まった。また,解答を書けなかった生徒が減ったことは,上述した意欲の高まりと合わせて望ましい変容と言える。
 今回実践したような活動を取り入れた指導は,生徒の文法の学習に対する抵抗感をやわらげ,単語の活用を理解させる上で有効であることが分かった。
 今後は,音便等の指導も含めて,更に計画的に文法の学習を進めることが求められる。


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