研究紀要第123号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究」 -023/076page
中学校2年英語
1 研究の視点
平成10年度の3年生の研究を基にし,「話すこと」のより有効な指導の在り方を考察するため,本年度は,2年生に対して,以下の視点から指導計画や練習活動の在り方を工夫し授業を実践した。
(1) 指導計画のエ夫
「話すこと」の重点指導期間を設け,その期間内の「話すこと」の言語活動の時間及び発展的な言語活動を行う時間を,毎授業のはじめの15分間に配分する。その上で,指導期間を3つのステージに分け,ねらいを決めて段階的に取り組み,最終的に自分のスピーチができるようにする。(2) 練習活動のエ夫
3年生における研究で課題とされた,「アクセント」,「相手との対応」,「スピーチの内容」の3つを,重点項目として特に練習する機会を設ける。(3) 「話すカ」をとらえる方法の工夫
生徒の「話すカ」の変容を細かくとらえるため,各種テストを実施するとともに,各ステージの「話すこと」の活動を録音する。2 実践研究
(1)授業の実際
<1>ステージ I
時間 ステップ1(「話すこと」の体験) 1 ・トピックを決めて,マッピングによってスピーチの内容を考える。 2 ・マップを見ながら,できるだけ多く英語で話す。
(1分間話しつづけられるように)・活動を振り返り,自己評価を行う。
英語を話すのが大変なようであったが,マップを見ながら何とか取り組んでいた。
時間 ステップ2(アクセントの練習) 1・2 ・カタカナ発音(1,2年の教科書にある英単語の発音などをカタカナ表記したもの)や練習の進め方を理解する。 3〜11 ・ペアで,正しいアクセントで言えるか」,「正しく書けるか」をゲーム形式で練習する。
・5問は,教師が出題し,残りの5問は生徒が考えて出題する。
始めはとまどっていたが,太字の部分を強めてアクセントを付けるという感覚は分かりやすかった。
時間 ステップ3(コミュニケーションの場面の体験) 1 ・4人1組になり,ステップ1で用いたマップを活用して最初の生徒がスピーチをする。
・スピーチ終了後,話し手にいくつか質問をする。
・次に,聞き手が話してにいくつか質問をする。
・Q&Aが終わったら,次の生徒に移り,自己評価を行う。
質問は,スピーチ終了後ではなく,スピーチの中に入れていた生徒が多かった。<2>ステージ II
時間 ステップ1(「話すこと」に慣れる活動) 1 ・ステージ Iと同様に行う。
活動に慣れてきて,途切れないで話せる様子が見られてきた。
時間 ステップ2(相手との対応の練習) 1 ・8グループ(各4〜5人)で,モデルスキット(教科書New Horizon English Course Book2「圭子のホームステイ」の部分)の音読練習をする。 2 ・モデルスキットをグループごとに発表する。 3 ・モデルを利用して,各グループでオリジナルスキットを作成する。 4 ・オリジナルスキットをグループごとに練習する。 5 ・オリジナルスキットを発表する。発表後,ステージ Iのステップ3の要領でQ&Aを行う。 発表者は机の配置や人物の位置,動作を考えたり,聞き手は,"Loud voice,please.""One moretime, please.""English, please."などと要求したりするなど積極的だった。
時間 ステップ3(コミュニケーションに慣れる活動) 1 ・ステージ Iと同様に行う。
簡単な相づちの表現などを使う生徒が増えたり,相手との間合いがよくなったりしてきた。<3> ステージ III
時間 ステップ1(「話すこと」に慣れる活動) 1 ・ステージ I,IIと同様に行う。マップを書く際は,ステージ I,ステージ II,で使ったトピックを今回のキーワードにして書かせ,新たなものがあれば加えさせる。
以前より話し続けられるようになって,1分では終わらない生徒も見られるようになった。
時間 ステップ2(内容を明確にしてスピーチを作成する練習) 1 ・ステップ1で話した英語を英文で書く。 2 ・スピーチの形に整える。「はじめの部分,内容の部分」の構成で書く 3 ・スピーチの練習,暗唱をする。