研究紀要第123号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究」 -024/076page

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 活動を段階的に行ったことによって,あまり抵抗感を持たずに作成することができた。また,書いた英文を見直し,自分の誤りを訂正したり,教師に正しい使い方の指導を受けることができた。
時間 ステップ3(コミュニケーションに慣れる活動)
1 ・ステージI,IIと同様に行う。覚えたものを発表しようとすると緊張するので,これまでと同 じようにマップを見ながら自由に話させる。

 3回目なので,スピーチの内容もかなり豊かになり,Q&Aも以前より活発に行われた。次は生徒Aの対話の様子である。文法などに多少の誤りはあるにしても,自分の思いを伝えようとする気持ちが伝わってくる。(A…話し手の生徒,S…聞き手の生徒)

A : I'm going tell you about my favorite thing.First,I like music. My club is marching band club. Now it is hard and not so interesting.But I will study about music hard.Do you like club?
S1 : Yes.
S2 : So,So.
A : Second,I like animals very much.I have two rabbits now. Do you have many rabbits?S1 :
(しばらく無言の後) Yes.
A : What do you have?
S1 : I have a
…亀ってなんて言うの。 I have a turtle.
A : Thank you. I have two rabbits. One is black and anothar is whaite. Black one's name is "KURO."White one's name is "MIMI."I like rabbits very much. Rabbits are very cute.
(少し間をおいて)
A : Third,I like winter?
S3 : No.
A : Why do you ….
(ちょっと考えて) Why?
S3 : Winter is very cold.
A:Me,too.I like winter because winter is snowy.It's white. I think white is holy and cute color.I like it,too. That's all. Thank you very much. Do you have any questions?
S1,S2 : No.

(2)考察

 <1>指導計画の工夫
 事前と各ステージ終了後の意識調査から,「話すこと」に抵抗感を持つ生徒が徐々に減ってきたことが分かった。また,ステージ III 終了後には,すべての生徒が「話すこと」が上達していると感じていたことから,段階的に取り組むように工夫した成果が見られた。次は,授業者の反省である。

・今回のように,授業の―部分を,―定期間を通して―つの目標を持った活動にあてることは大変有意義で,生徒たちも,「話すこと」に大変自信を持つことができた。

 <2>練習活動のエ夫
 各ステージ終了後の意識調査によると,ステージ I,II のステップ 2 の活動によって,各重点項目への意識が高まったことが分かる。また,ステージ III では,ワークシートによって満足できるスピーチを作成できた生徒が多く,中でも,話す活動としてのステップ 3 においては,相手にうまく対応し,明確なスピーチができる生徒が増えてきた。このことから,特に重点項目を練習する機会を設けたことが,生徒の意識やそれぞれの項目を高める上で役立ったことが分かる。

 <3>「話すカ」をとらえる方のエ夫
 各ステージのステップ 3 の活動をグループで録音し,それを聞いて改善点を確認し合った。また,教師もそれを聞いて,個人的に簡単な指導を行った。授業時間内ではつかみきれない生徒の様子が把握でき,指導に生かされた。

3 実践をふりかえって

○ 今回の取り組みによって,生徒に「話すこと」に対する苦手意識をやわらげ,自信を付けさせる ことができた。また,相手の話に対応するカが付き,内容のあるスピーチができた。指導計画を工 夫し,継続的・発展的な活動を行えば,より―層の効果が期待できる。
○ 重点項目の練習によって,それらに対する生徒 の意識は高まった。練習期間を確保し,集中して 取り組むことによって,着実に定着を図ることができると思われる。また,「書くこと」と関連さ せることで,自分の誤りを確認し,正確な英語を身に付けさせることができる。
○ 活動を録音することで,教師が生徒―人―人のよさに気付き,それを指導に生かすことができる とともに,生徒自身が改善点に気付き,それを意 識して練習に取り組むことができた。

<参考文献>
1)「楽しい英語授業 V01.12」明治図書  (平成9年)
2)島岡丘,鳥飼玖美子:「リトルスター英絵辞典」  小学館(平成5年)
3)島岡丘:「カナ活用 英語のリズムとレダクション」  洋販出版(平成9年)


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