研究紀要第123号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究」 -025/076page
III 授業改善を図る調査・実践研究(II)
小学校生活科
イメージマップ活用のエ夫
〜生活科における試み〜1 研究の趣旨
イメージマップとは,「中心にかかれた事柄について連想するものを周囲に書きとめ,さらにその言葉から連想するものをその外側に書いていき,連想の流れが分かるように線で結んだもの」である。低学年の子どもでも容易に書くことができ,書かれた内容から様々な情報を得ることができる。
ところで,生活科においては,授業の画―化やマンネリ化,知的な気付きの深まりの弱さが問題となっている。これらの問題を解決するためには,子どもの思いや願いを大切にし,それを生かしながら授業を展開すること,そして,教師が子どもの気付き・思考の広がりや深まりを的確に把握することが大切である。
そこで,子どもの特性を把握したり,子どもの思いや願いを生かしたり,子どもの表現活動に生かしたりするためにイメージマップの活用の可能性を探り,生活科の課題解決及び生活科の授業改善に役立てたいと考えた。2 研究内容・方法
(1)イメージマップに関する文献研究
(2)生活科におけるイメージマップ活用の可能性の追究
a.子どもの実態を把握してみる
b.子どもの変容を把握してみる
c.活動計画を立案してみる
(3)イメージマップを取り入れた授業実践3 研究の実際
b.子どもの変容の把握への活用
(1)イメージマップ活用の可能性の追究
a.子どもの実態把握への活用
イメージマップに書かれた言葉を分析することで,単元に対して子ども―人―人がどのような興味・関心,知識や経験などをもっているか,また,学級全体としてどのような傾向があるのかが把握でき,単元構想や子どもの支援に生かすことができる。
学習前と後のイメージマップを比較検討することで,子どもがどのようなことに興味をもったのか,また,どのような気付きをしたのかなどを文字という形でうかがい知ることができ,評価の資料としても役立てることができる。
c.活動計画立案への活用
板書・模造紙イメージマップを用いて,単元に対する思いや願いなどを引き出し,そのイメージマップを基に子どもとともに学習計画を立案したり,活動の進め方を考えることができる。
(2)イメージマップを活用した授業実践の試み
以上の研究を踏まえ,二つの授業実践を試みた。―つは,子どもの実態や変容の把握,課題意識の高揚などのためにイメージマップの活用を工夫した授業実践,もう―つは,情報の収集,表現活動の活性化のためにイメージマップを活用した授業実践である。a.授業実践 1(単元名 とみた町大はっけん)
ア 実態把握のために
「富田町」を中心語としてイメージマップを書かせて実態を把握し,それを基に教師は,子どもの興味・関心を大切にしつつ,探検場所などの設定やその後の活動を組織する際に役立てることができた。