研究紀要第123号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究」 -026/076page
イ 課題意識の高揚のために
個人で作成したイメージマップを基に発表し合い,全員でスクールエリアマップ(大きな学区の白地図)を作成した。その結果,探検に対する関心・意欲,課題意識の高まりがみられた。ウ 子どもの活動の様子や変容を把握するために
探検後,初めに書いたイメージマップに書き加える形で書かせた。書き加えたイメージマップから,観察や発表からではとらえきれなかった子どもの気付きやこだわりなど,子どもの新たな側面を把握することができた。また,イメージマップを書くことで,子ども自身が,町についてたくさん知ることができたという喜びを昧わうとともに,気付きを自覚する上でも有効であった。
※ 太枠が,探検後に書き加えたものb.授業実践 2(単元名 もうすぐ2年生)
ア 情報の収集のために
1年生にとって,1年間を振り返ることは容易なことではない。そこで,1年間の自分を振り返りやすくするために,自分の似顔絵を中心におき,「思い出」と「できるようになったこと」に分けてイメージマップを書かせた。イメージマ,プを書くことに慣れてきたこともあるが,子どもたちは1年間を振り返りたくさん記入していた。
イ 表現活動の活性化のために
その後,子どもたちは完成したイメージマップを基に,1年間の「思い出」と「できるようになったこと」をアルバム,新聞,広告,図鑑などにまとめる活動を行った。イメージマップを作成していたことで,どの思い出をまとめるのかを簡単に決め,作品づくりに取り組むことができた。また,途中で活動が滞った際に,確認したり振り返ったりすることにも効果的であった。
このように,イメージマップは情報の収集・整理・焦点化に有効であり,表現活動を活性化させるために役立ったと考えられる。4 研究のまとめ
子どもの内面を重視する生活科において,イメージマップは,子どもや学級の特性を把握したり,変容をとらえたりする上で有効な資料となり,評価にも役立てることができる。また,情報を多く収集したり,個々の子どもの考えを広めたりする上でも有効で,それを基に学習計画を立案したり,表現活動に生かしたりできる。
しかし,低学年の子どもでも容易に書くことができるイメージマップであるが,あまり情報を広げていくと中心語とはかけ離れた内容となるおそれがあることや,イメージマップだけで子どもの特性や変容をとらえることはできないことなど,イメージマップの特性を十分理解して活用することが大切である。<参考・引用文献>
1)文部省: 「小学校指導書生活編」(平成元年)
2)文部省: 「小学校生活指導資料 新しい学カ観に立つ生活科の学習指導の創造(平成5年)
3)福島県教育資料研究会:「授業改善ハンドプック授業の窓 授業を磨く」(平成11年)
4)新潟県教育センター:「イメージマップ・学習マ ップ活用ハンドプック」(平成7年)