研究紀要第124号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -037/076page
実践3
中学校理科 1 単元・対象
○ 天気とその変化
学校内の風向を観測しよう(3時間)
○ 2年 1クラス 35名2 教材のエ夫と活用
(1)「自記式風向計」の開発
風向の観測は,ほかの気象要素に比べて変動が大きく,地形や建造物などの局地的な影響を受けやすい。このため,風向を観測するためには,絶えず変化する風向を平均化として捉えたり,風向計を多くの場所に設置したりする必要がある。しかし,市販の風向計は高価なものが多く,台数を多くそろえることが難しい。
そこで,授業などで,生徒たちが同時に多くの場所で風向を観測できる「自記式風向計」を開発した。
この風向計は,塩化ビ二ル板(塩ビ板) ビー玉 鉛筆の補助軸,べ二ヤ板などの身近で安価な材料を用いて,比較的簡単に製作でき,ある程度の携帯性を備えている。最も大きな特徴は,短時間なら,風向を記録用紙に記録できることである。風が吹くと矢羽根の部分が回転し,そこに取り付けられた鉛筆(上からバネで押されている)によって,記録用紙にそのときの風向が記録され,観測した時間内の風向を後で読みとることができる。
この自記式風向計を生徒自身が製作し,その手作りの装置を用いて観測する過程で,問題を正しく把握したり,適切な観測の計画をたてるなど,科学的な思考を促すことができる。(2)授業における活用
a 自記式風向計の製作(第1時)
はじめに,気象観測の要素である,「風向」について学習した。
次に,自記式風向計の製作の仕方について説明を受けた後,2人ずつのグループごとに自記式風向計の製作を行った。この製作活動は,風向の測定方法について理解を深めることになり,また,身近な材料を利用して学習することの大切さを確認することにもつながった。
b 自記式風向計を用いた風向の観測(第2時)
はじめに,生徒2人ずつの各グループごとに,学校の屋上や校庭,玄関前などの,風向を観測する場所を決めた。
次に,それぞれの観測場所で,製作した自記式風向計を用いて,同時刻に同じ時間だけ風向を観測した。観測は,風向の記録用紙を交換して2回行った。風向は絶えず変動するので,10分間の平均値で表す