研究紀要第124号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -039/076page
実践4
中学校 技術・家庭 1 領域・対象
○ 電気領域
テーブルタップの製作 (24時間)
○ 2年 2クラス 76名(1)テーブルタップを主題材とした電気領域の展開
テーブルタップは,一般に導入題材として用いられていることが多いが,多くの学習要素を備え,発展性の高い教材である。
そこで,パイロットランプと中間スイッチを付け加えたテーブルタップを主題材として製作を行いながら幅広く電気の学習ができるように領域の展開を工夫した。
テーブルタップ製作の過程で直面する疑問を解決するときに,教材を用いて様々な実験を行うことで,思考を活発にし,学習内容を多岐に発展できると考えた。次はテーブルタップを主題材とした展開構想図である。
(2)工夫した教材と授業での活用
テープルタップの製作の過程で生じた疑問を,実験を通して解決するため工夫した教材の―部と授業での活用を次に示す。
a 許容電流実験装置
この装置は,芯の本数による発熱の違いを調べるものである。
多くの生徒は,ビ二ルコードの被覆をむく際にコードの芯も同時に切断しやすく,切断した芯の本数によっては危険ではないかなどの疑問をもつ。そこで,この装置を使った実験に,結果を予想したり,発熱の状態を比較・分類したり,発熱した結果を分析的に判断したりする活動を取り入れた。
この授業により,許容電流から発展して,電気コードの種類,電流遮断器,ヒューズの働き,電気機器の安全な使い方まで学習することができた。
いろいろなコード
b 発電モデル装置
この装置は,負荷を変えたときに,ハンドルを回すカの違いを調べる手回し発電機である。
コードをねじなどの端子に巻き付ける作業では,芯が端子からはみ出しやすい。二つの芯が接触しそうな状況では,安全に使えるかなどの疑問が生じる。そこで,短絡する様子を観察した後,この装置で豆電球の数を増やしたり短絡させたりすると,ハンドルが徐々に重くなることを体得した。この実験により,発電機に加える力を電流の大きさと関連付けて考えた。さらに短絡時に流れる電流の大きさから電流遮断機が作動する現象を,筋道を立てて推論する活動を取り入れた。この授業により,負荷の役割や電流遮断機の役割について確認し,さらにモーターやスピーカーのしくみについての学習へ発展することができた。c 配線モデル装置
この装置は,配電線と漏電している洗濯機のモデルである。
ビ二ルコードの被覆をむく作業やプラグの組立の際に被覆に傷をつけてしまい,芯が剥き出しになる場合がある。この芯の部分に接触すると感電するのかなどの疑問が生じる。そこで,この装置を使った実験により感電の現象を電線にいる小鳥やアースの有