研究紀要第124号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -040/076page

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無による洗濯機で再現し,電気の流れをモデル化し筋道立てて考える活動を取り入れた。

配電線モデル装置の授業中
この授業により,配電線や屋内配線のしくみ,死線と活線,漏電による感電事故と漏電遮断機の役割,アースの必要性などへ学習を発展することができた。

d 電気回路設計装置
電気回路設計装置 
 この装置は,100Vの電源で発光ダイオードを点灯させる回路を実験しながら設計するものである。
テーブルタップにパイロットランプとして発光ダイオードを接続するときに,直列か並列かの接続方法や電流を小さくする方法などの疑問が生じる。そこで,この装置を使って,接続の方法を確かめ, 5種類の抵抗器を接続して,電球の明るさの変化から電流の大きさを把握する実験を行った。その際,オームの法則などを適用し,電気の流れを筋道立てて考える活動を取り入れた。この授業により,電気回路をはじめ抵抗器や半導体についての学習へ発展することができた。

e 待機電カ測定装置
待機電カ測定装置
 この装置は,電気機器を電源に差し込んでいるだけで流れる電流を測定するものである。
 製作したテーブルタップを電源に差し込むだけで,発光ダイオードが点灯する。この点灯に要する電気が無駄ではないかと疑問が生じる。そこで,この装置を使って,普段電源を抜かない電気機器が消費する電力を調べ,待機電カの大きさを数量的に把握する活動を取り入れ,その後に中間スイッチの取り付けを行った。この授業により,電気の有効利用から発展して,環境問題にまで学習が広がった。

3 結果

(1)それぞれの装置に対する生徒の評価
 グラフは,それぞれの装置を活用することによって着目した科学的な思考の要素が,どの程度働いたかを生徒の評価により,調査した結果である。
それぞれの装置に対する生徒の評価

(2)生徒の感想

1 許容電流実験装置
 ・芯が赤くなって熱くなるのがよくわかった。
 ・細い芯だけど,芯1本の重要性がわかり,1本も粗末にできないと思った。
2 発電モデル装置
 ・電気回路には,負荷が必要なことがわかった。
 ・となりの線に接触するだけで,大きな電流が―瞬のうちに流れることが実験でわかった。
 ・家でプレーカーが落ちたが,今日その理由がわかった。
3 配電線モデル装置
 ・小鳥が感電しない理由がわかり,長年の疑問が解けてうれしかった。アースは必ずつなぐようにしたい。
 ・アースの役割が大切なことがわかり,家に帰って見てみたいと思った。家の人にもアースの大切さを教えたい。
 ・豆電球を使ったモデルで,とてもわかりやすかった。
4 電気回路設計装置
 ・抵抗器の役目がよくわかった。
 ・抵抗器の勉強をして,ラジオなどの音量調節にも使われていることに気づいて感動した。
 ・直列と並列の違いがこんなに大きいものとは思わなかった。
5 待機電カ測定装置
 ・中間スイッチは無駄な電気を無くすのに便利だと思った。
 ・コンセントを差しておくだけで無駄な電気を使っていることがわかり,少しショックだった。これからはこまめに抜 きたいと思う。
 ・知らずに使っている電気の量が多いのにびっくりした。

(3)授業者の感想
テープルタップの製作を通して,生徒から自然に疑問や課題が発生し,それを実験や実習で解決することで,より意欲的に学習を進めることができた。特に,実験中の生徒の目の輝き,驚きの表情は印象的である。シンプルな教材であるが そこには電気の基本的事項を学べる様々な要素を含んでいると感じた。


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