研究紀要第124号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -042/076page

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(2)授業における活用

1グループ4人で識別方法を考える時間と,2人一組で実験により識別する時間の2時間構成とした。
<第1時>水溶液の識別方法の検討
1.教科書やノートを利用した6種類の酸・塩基・塩の性質のまとめ 

2.実験課題の把握 

3. セルプレート,注射器の使い方の習得 

教師は,セルプレートや万能pH試験紙など実験に必要な器具や溶液を配付し,使い方について説明した。

4. 生徒一人一人による識別方法の検討

5. グループによる識別検討の方法 

教師は,グループごとに識別方法を確認した。

<第2時>実験による水溶液の識別
1.2人一組での識別実験 

教師は,考えた方法で実験しても識別がうまくできずに悩んでいるグループにヒントを与えた。

2.実験結果の整理と再実験 

教師は,識別が終了したグループの結果を点検し,すべての水溶液を識別できたグループには実験のまとめを指示し,識別できない箇所があるグループには,再度識別方法を検討するように指導した。

3.実験結果のまとめ

生徒は,主に次のような実験を組み合わせ,結果から判断して水溶液を特定した。

・6種類の水溶液を万能pH試験紙に付け,色の変化から酸性,塩基性を判断し水溶液を分類した。
・酸の水溶液を注射器で数mlとり,中和するのに必要な水酸化ナトリウム水溶液の体積を調べ,水溶液を特定した。
・塩の水溶液を注射器で数mlとり,強酸を加えて弱酸が遊離するかどうかをみた。
・塩の水溶液を注射器で数mlとり,強塩基を加えて弱塩基が遊離するかどうかをみた。

識別方法を検討している様子
識別方法を検討している様子

3 結果

 (1)教材に対する生徒の評価
教材に対する生徒の評価

項目1 :セルプレートは,反応させる溶液の量が少量でも酸・塩基の量的関係を把握しやすい
項目2 :セルプレートはまとめて溶液の反応を見ることができるので,結果が比較しやすい。
項目3 :注射器は。1本でいろいろな溶液を量りとることができるので,自分で実験を計画しやすい。
項目4 :注射器は,体積を量りとることができるので,反応させる溶液の量的関係を把握しやすい。

 (2)生徒の感想
・計画をたてるのはなかなか大変だったが,楽しかった。
・自分で考えて実験することはあまりないので,よい経験になった。
・自分で実験方法を考え,結果を予想して取り組み,内容も理解できた。
・自分で考えなければならず,その分記憶に残り,与えられた実験よりも納得できた。
・授業で学んだ内容を活かすことができたので面白かった
・しだいに何の水溶液であるかがわかってきて,うれしかった。
・中和滴定で価数を利用して化学的な実験ができてよかった。
・もっと違う物質の組合せに挑戦したい。


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