研究紀要第124号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -044/076page

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断面づくりをしている様子
断面づくりをしている様子

b 粘土による胚モデルの製作(第2時)
 はじめに,生徒は,原膓胚の胚モデルの製作方法について説明を受けた後,第1時の寒天包埋固定標本を用いた実物の観察をもとに各自工夫しながら製作を行った。
 次に,完成した胚モデルを,カッターを用いて様々な断面で切断し,その断面を観察した。寒天包埋固定標本での外形や断面の観察と比較しながら,モデルが正しくできたかどうか判断した。さらに,モデルを分解したり,再び組み立てたりすることによって原膓胚の立体的な構造をモデルから確認した。
 最後に,モデルの断面を胚葉ごとに色分けしてスケッチなどを行い,発生運命決定の過程へと学習を進めた。
 実物の観察に基づき,生徒の主体的な活動を生かした観察・実験であったため,生徒は,胚モデル製作において,創意工夫しながら取り組むことができた。

胚モデル製作の様子
胚モデル製作の様子

3 結果

(1)教材に対する生徒の評価
教材に対する生徒の評価

項目1 :寒天包埋固定標本を用いて,発生段階ごとに比較することができた。
項目2 :寒天包埋固定標本を用いて,発生段階ごとに分類することができた。
項目3 :粘土で製作した胚モデルの断面から,モデルが正しくできたかどうか判断できた。
項目4 :粘土で製作した胚モデルの外形や断面の観察から,原腸胚のつくりを確認することができた。
項目4 :粘土で製作した胚モデルから,原腸胚のつくりを立体的に理解することができた。

(2)生徒の感想

a 寒天包埋固定標本
・寒天に胚が入っていたので,切ってとり出すときも, 半分に切断するときもやりやすかったのでよかった。
・楽しかった。本物が見られたのでうれしくなった。
・おもしろかった。胚のつくりがよくわかった。
・はじめて見たものばかりで驚いた。こんな小さな胚 がどんどん変わっていって,ちゃんとした成体にな るというのがとても驚きで,すばらしいと思った。

b 粘土による胚モデル
・楽しくできるので, わかりやすいと思う。
・カラーで区別できたし 自分の指で実際作り上げることができ,資料や教科書よりも数倍わかりやすく, 頭に入るような気がした。
・自分で考えながら作るので,作りながら原膓胚の仕 組みなどを覚えることができ,とてもよい。
・すごく楽しかった。そして原腸胚の粘土で,他の人たちにも自信をもって,発生のしくみを説明できる ようになった。

(3)授業者の感想
 生徒は生き生きと積極的に観察・実験に取り組んだ。様々な発生段階の胚を観察したり,原腸胚・尾芽胚を自分の手で切断し断面を観察した後,粘土で原腸胚の模型を製作することで,理解が難しい原腸胚形成の過程や内部構造などを立体的にイメージでき理解を深めることができた。また,後で学習する,神経菅形成や発生のしくみなどの内容の理解にも役立った。


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