研究紀要第128号 「特色ある学校づくりを目指す教育課程に関する研究」 -010/074page

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(3) 特色ある学校づくりにかかわる課題と改善策

 調査からも明らかなように,各学校は,新学習指導要領の趣旨を踏まえ,地域を意識した教育活動の見直し・開発を核として,これまでの教育内容の検討と教育環境の工夫改善を試行していることがわかった。このことは,学校・家庭・地域の三者の協力関係を確立し,地域に開かれた学校を創造していこうとする姿が伺える。

 そこで,ここでは,地域に根ざした特色ある学校づくりを推進するための視点に絞り,その改善策について述べ学校教育活動の一助としたい。

<1> 自校の教育課題を明確にする。

 「学校は今何を求められているのか。」「学校として何ができ何をすべきか。」について共通理解に立つ。

ア 児童生徒の実態を明らかにする。

・ 児童生徒の能力,適性,興味,進路等児童生徒の姿を通してとらえる。

イ 地域環境を把握する。

・ 地域の人々,自然環境,社会施設,産業,伝統行事など地域を把握し,連携する。

ウ 地域や家庭の願いや教職員の思いを把握する。

・ 学校に対する意識,期待,要望など児童生徒をとりまく諸々の姿や教職員の考え,自校に寄せる思いをとらえる。

エ これからの学校教育の在り方について吟味する。

・ 情執 環境,福祉,国際理解などの現代的教育課題と自校の実態を加味して検討する。

<2> 全体構想を明らかにした教育課程を編成する。

 特色は課題から生み出され,それを解決するものであれば,それは学校の教育活動を方向付けることにもなり,子供と教職員の活動を動機付けるものとなる。また,学校の独自の教育課程などは各学校が個性的,多様であるべきだと考える。

 そこで,教育課程の編成をする際の構想の手順をアンケート調査を踏まえて右上の図のようにまとめてみた。

 この手順を踏まえて,教職員一人一人が全体構想を明らかにし,自校の教育課程の編成を行っていく。

全体構想図
【全体構想図】

<3> 学校全体で評価を行う体制を整える。

 地域や保護者との連携の重要性が示される中で,各学校の自主性が拡大された。このことは,各学校において自校の教育課程や学校運営に責任を持ってあたり,その成果や結果を的確に評価し,教育課程の実施状況や学校運営の状況を全教職員がしっかりと把握しておくことが大切となる。

ア 自校としての評価の在り方について共通理解を図る。

・ 評価の方針や準備の体制を明らかにする。

・ 実施結果の事実を直視し,改善の視点を明らかにする。

イ 組織を生かして評価活動に取り組む。

・ 12年度新たな組織を校務分掌に組み入れた学校もある(調査結果<1>から)が,自校の実態にあった現在の組織で,役割分担を明確にするなど,いかに機能させていくかを十分検討することが重要である。

ウ 指導と評価について教職員の力量を向上させる。

・ 新しい指導観や評価観への意識改革を図る。

・ 子供の学習活動をどう評価するかの事例研究や評価方法の検討などの校内研修を充実させる。


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