研究紀要第128号 「特色ある学校づくりを目指す教育課程に関する研究」 -011/074page
2 小・中学校における「総合的な学習の時間」の実際と分析及び課題解決の方向性
(1) 実態調査から
「総合的な学習の時間」に関する課題を明らかにするためアンケート調査を実施した。調査対象は,専門研修2(ローマ数字)(教育方法実践講座,道徳教育実践講座)及び専門研修3(ローマ数字)(学校経営A・B講座,教育研究法講座)を受講の研修者184名である。調査(1)については,県内の小・中学校より寄せられた学校要覧の年間授業時数(年間授業時数を掲載していた学校数592校)を集計した。
<1> 「総合的な学習の時間」の各学年における計画時数について
小学校各学年の「総合的な学習の時間」の学年差における計画時数の差はあまりない。若干,学年が上がるにつれ計画時数が増えていく傾向が見られるく中学校においても学年間における計画時数の差はあまり見られないが,学年が上がるにつれ減少していく傾向が見られる。
小学校における「総合的な学習の時間」の計画時数の分布を見てみると,移行期において,前向きに取り組もうとする姿勢が伺える。中学校では,取り組み姿勢にやや学校差が伺える。
<2> 「総合的な学習の時間」で取り上げようと考えた学習内容について
小学校と中学校の校種の違いにより学習内容に若干差異が見られる。中学校では「自己の在り方,生き方や進路指導」「特別活動や道徳との関連」の項目の割合が高くなっている。
<3> 「総合的な学習の時間」の年間計画における実施時期や位置付けについて
小学校においては,「断続的に実施」と位置付けた学校数が極めて多かったのに対し,中学校においては,「時期を集中させて実施」「時間割に位置付けて年間を通して実施」「断続的に実施」と位置付けた学校数が,はぼ同数の割合であった。
<4> 「総合的な学習の時間」の実施における課題について
小・中学校ともに,同じ項目が「総合的な学習の時間」の実施における課題として挙げられており,ほぼ同様の問題意識を持っていることが伺える。しかし「校内の指導体制」と「個々の教員の負担増」の項目に関しては,中学校では比較的高い割合を示