研究紀要第128号 「特色ある学校づくりを目指す教育課程に関する研究」 -012/074page
しており,小学校との違いが見られる。
<5> 「総合的な学習の時間」が根付くために大切にしたい事項について
自由記述方式で調査し分類したところ,以下の事項が寄せられた。
○ 意欲を高める学習課題づくり ○ 興味・関心を高める単元開発 ○ 子供に育てる資質や能力 ○ 活動の連続性を生み出す課題追究 ○ 学習環境づくり ○ 追究意欲を高める評価方法と支援 <6> まとめ
実態調査の結果,各小・中学校とも「総合的な学習の時間」に関する校内研修を通して,理解も次第に深められ,全面実施へ向けて着実に取り組んでいることが伺える。
今後,さらに「総合的な学習の時間」の趣旨,意義を把握し,学校教育目標との関連を踏まえるとともに,教職員の意識改革と共通理解を図り,その実践における具体的方策をさらに明確にして取り組むことが必要である。
(2) 実態調査から明らかになった課題
以上,実態調査から明らかになった課題をまとめると以下のとおりとなる。
<1> 「総合的な学習の時間」の指導観の共通理解に関する課題 <2> 「総合的な学習の時間」で育てる資質や能力に関する課題 <3> カリキュラム作成・単元開発に関する課題 <4> 「総合的な学習の時間」における指導方法や指導体制に関する課題 ・学習課題設定に関して ・課題追究に関して ・評価に関して ・教師の支援に関して ・学習環境づくりに関して (3) 課題解決のための取り組みと展開の視点
<1> 「総合的な学習の時間」の指導観に関して
学習指導要領の「総合的な学習の時間」のねらいを踏まえた時,その指導は,子供が興味や関心,生活や経験に根ざした課題を,他者と温かく関わり合いながら,自らの力でじっくりと追究し発見し解決していく学習を支援していくことが大切である。そのような指導を展開し積み上げることによって子供の学びの質を高め,深め,「生きる力」を培うことが可能となると思われる。したがって「総合的な学習の時間」の指導展開においては,問題解決的な学習と具体的な体験活動を重視した指導,そして,その解決にいたる一人一人の子供の学びの過程を重視した教師の創意工夫ある指導と評価を展開する必要がある。
<2> 「総合的な学習の時間」で育てる資質や能力に関して
「総合的な学習の時間」で育てる資質や能力については,次のようなものが考えられる。
<課題を設定する能力> を明確にし,課題を発見し,課題を設定する力 ○ 事象や体験に対し,自分自身の問題や関心 <課題を追究.解決する能力> ○ 課題を追究,解決するための見通しを立てる力 ・ 追究方法,解決方法を選択する ・ 企画,運営する ・ 仮説をつくる ○ 課題を追究,解決するための遂行能力 ・ 観察する