研究紀要第128号 「特色ある学校づくりを目指す教育課程に関する研究」 -014/074page
多様な評価方法を工夫し多面的に評価していくことが望まれる。
子供一人一人の長期にわたる活動での主体的な学びの状況や一人一人のよさを見る評価方法としては,各学校で活用されつつあるポートフォリオ評価がある。また,実際的な問題解決の場面で子供が道具や材料を操作して考えるパフォーマンステストなどがある。
こうした評価によって,教師は自らの指導を見っめ直し,指導の改善や単元の修正に役立て生かすことができる。一方,子供たちは自分の学習活動を振り返ることとなり,自ら学び自ら考える力を培い,自分の学びを大切にしようとする心情を高めることができるようになると考える。
ウ 「総合的な学習の時間」における教師の指導・支援
子供たちの実態や様相に応じ,追究活動において子供たちの主体性を損なうことのないようバランスを配慮し指導・支援にあたっていきたい。
<教える>
学び方のガイドブックやマニュアルを活用させるなどして,情報収集の仕方や調べ方,まとめ方や発表の仕方等学習方法に関することは勿論のこと,安全な行動の仕方やルール,礼儀やマナー等,人との関わり方についても教えるべきところはしっかりと教え身に付けさせたい。
<気付かせる>
子供の考えや話によく耳を傾け,別の視点からヒントを与えたり,参考となる情報を与えたりするなどして,課題解決の糸口を子供自身に気付かせるように働きかけていきたい。それにより子供自身の力でつまずきを乗り越え,さらに新たな意欲を持って追究活動に取り組むことができるようになると考える。
<認め励ます>
子供一人一人のよさをつかみ認め励ます(賞賛も含む)ことは,支援の大切な働きの一つであり,子供の追究意欲をさらに高め学びの質を深めることとなると考える。
<共感する,共に活動する>
子供の喜びや楽しみ,驚き等の感情に教師も共感したり,時には,子供たちの活動や体験に教師も参加し共に活動したりするという支援を大事にしたい。
この支援により,子供は,教師に対しさらに親近感や信頼感を深めると同時に,自己の追究活動に対しても自信を深め,さらなる追究の喜びを感得することができると考える。
<保障し,見守る>
子供たちの追究活動の時間や場所を十分保障し,自分の力で追究,解決していく過程を見守る姿勢も大切にしたい。また,対外的なことに関して教師が事前に連格や調整をしておくことも追究活動を保障することに繋がるものである。
エ 「総合的な学習の時間」のための学習環境づくり
<校内の学習環境>
校庭や中庭,花壇や栽培園,飼育小屋,資料展示教室や特別教室,体育館,空き教室等,「総合的な学習の時間」の展開場面から,再点検していくことが大切である。子供たちの調べる活動や作品の制作活動,集会や発表活動,ポスターや新聞等を掲示する活動等の場として整備していくことが望まれる。
学校図書館は,学習・情報センターとしての機能をさらに整備していく必要がある。子供たちの追究活動における情報収集のための参考書や辞典類,各種図書や新聞雑誌等の資料を十分整備するとともに,インターネットを活用できるようにするなど,各種教育機器の学習環境整備も求められる。
<校外の学習環境>
地域の自然環境,歴史,文化財,産業,人材,施設設備等,地域そのものが学習環境であり,それらをどのように生かしていくか検討することが大切である。また,「総合的な学習の時間」をより効果的に展開するために,子供たちが地域で学ぶことと,その学ぶ意味を地域の方々に理解してもらう努力をすることが大切である。