研究紀要第129号 「自ら学び考える力を育成する授業改善に関する研究1」 -026/074page
次時の班対抗の競技会に向けて,班の合計点数を上げようと自分の力に応じて技の種類や跳び方の難易度を考えながら,熱心に技の練習に取り組む姿が見られた。
4 研究のまとめ
(1) 研究の成果
1 「体ほぐしの運動」として,主運動のアナロゴンとなる運動を楽しく行えたことは,器械運動に対する意欲の向上につながったと考えられる。また,マット運動後の調査では,多くの児童が技能の向上などに効果的であったと振り返っている。
児童相互の関わり合いのある「体ほぐしの運動」を取り入れたことにより,友達の目を意識しないで練習し,教え合うことができるようになった。
2 児童一人一人が持っている力を進んで発揮し,めあてに向かって楽しく活動できるように,マット運動において集団的な動きを取り入れたり,跳び箱運動において技の種類や跳び方の難易度による点数化を取り入れたりしたことにより,次のように楽しく活動しながら学び方を身に付けることができた。
ア マット運動では,できる技が少ない児童でも,友達と一緒に回ったり,続けて回ったりする楽しさを味わうことができた。また,技能の優れた友達が活躍できるように工夫した班も見られ,個人差が大きくても個に応じためあてを持って活動することができた。
イ 跳び箱運動では,技や跳び方の難易度を客観的にとらえることができ,自己評価や相互評価に役立てることができた。また,班の総得点に貢献しようと進んで何度も練習する姿や目標点数を獲得して喜ぶ姿も見られ,学び方が身に付いてきたことがうかがえた。
(2) 今後の課題
鉄棒運動やボール運動,陸上運動などについても,そのアナロゴンの活用を図った効果的な「体ほぐしの連動」の例を探っていく必要がある。
また,「体ほぐしの運動」と「体力を高める運動」を関連付けた「体つくり運動」の単元計画の作成も考えていきたい。
<参考文献>
1)文部省:「学校体育実技指導資料第7集 体つくり運動」(平成12年)
2)杉山重利著:「新学習指導要領による小学校体育の授業7(丸囲み数字) 考え方・進め方」大修館書店(平成12年)