研究紀要第130号 「自ら学び自ら考える力を育成する授業改善に関する研究2」 -036/074page
【Do(実践)】
<1> お互いの考えを提案する場(提案の場)
単元の初めでは,電気の流れ方についてそれぞれの考えを提案した。これらの様々な考えを聞くことで,自分の考えと異なる考えがあることを知った。
その後,一人一人が自分の立場を決定していった。
ここでは,自分の考えを提案する過程や自分の立場を決定する過程において,これまでの経験と提案し合った考えを比較し,関連付けるなどの科学的な思考がはたらいた。
<2> それぞれの考えを検証する場(検証の場)
それぞれの時間では,課題の確認,課題に対する考えの明確化,検証方法の発想と結果の予測,検証実験の実施,発表を通した考えの交流を行った。
ここでは,自ら検証方法を発想させたことで,筋道を立てて考えたり,発表を通して考えを交流させたことで,関連付けたりするなどの科学的な思考がはたらいた。
<3> 得た考えの一般性を獲得する場(獲得の場)
単元の終末では,学習によって得られた考えの一般性を,他の多様な事象に当てはめることで確認した。これにより目標概念がより強固に獲得できた。
ここでは,推論し,関連付けるなどの科学的な思考がはたらき,学習で得た考えに,より説得力を持たせることができた。
3 結果
(1) 展開に対する評価
グラフは学習意欲,創造的思考力,批判的思考力に関して,それぞれ実践の各場面ごとに児童の自己評価で調査した結果である。
授業が進むごとに,学習意欲が高まっていることが分かる。また,科学的な思考が活発になり,創造的思考力や批判的思考力が仲良していることが分かる。
(2) 児童の感想
・ 自分の方法で実験できてすごく楽しかった。 ・ 実験の仕方を考えるのが楽しかった。 ・ 教科書に書いてある実験より,自分で実験したほうが分かりやすかった。 4 まとめ
この研究では,児童がどのような概念を持っているのかということを教師が把握し,これを基に授業を構想し,児童が自分の仮説を検証する授業を行うことで,学習意欲や創造的思考力,批判的思考力が高まることが明らかになった。