研究紀要第130号 「自ら学び自ら考える力を育成する授業改善に関する研究2」 -039/074page
実践研究 3 中学校 技術・家庭
1 領域・対象
○ 電気領域
「電気機器のしくみ」 (7時間)
○ 2年 2クラス 76名
2 研究の概要
本実践では,学習意欲を高め,科学的な思考を促すために事象の提示や実験・観察で使用する教材の工夫を行った。
(1) 授業展開と教材の工夫
<1> 授業展開の工夫
クリスマスツリーの点滅する電球を導入に用いてパイメタルの学習を行った。ツリー用の電球は,身近であり生徒の興味・関心も高い。自動で点滅を繰り返す事象への疑問から学習意欲を高め,次の教材を用いて授業を展開した。その後,アイロンや蛍光灯の学習へと発展するように指導計画を工夫した。
<2> 教材の工夫
ア 線膨張率の違いを比較する実験装置
この装置は,金属の線膨張をストローの振れの大きさから実感し,線膨張率の違いを比較できる実験装置である。この実験の結果をもとに,パイメタルのしくみを筋道を通して考えられるようにした。
イ 白熱電球の熱で自動点滅するパイメタル模型
白熱電球の熱によって,張り合わせた金属板(黄銅と鉄)が変形し,自動でスイッチを開閉するパイメタルの模型である。パイメタルの微少な動きを拡大することでモデル化して考えることを促し,パイメタルの変形とスイッチの開閉を関連付けて考えられるようにした。
(2) 授業における実践
<1> クリスマスツリー用電球の観察
クリスマスツリー用電球が点滅する現象を観察することで,100Vの電源で小さな電球が点灯するしくみや点滅を繰り返すしくみに疑問を持った。直列回路について復習することで点灯するしくみを理解し,自動で点滅を繰り返す現象に疑問が集中した。この事象を提示することにより,課題の焦点化が図られ,点滅のしくみを解明したいという生徒の学習意欲を高めることができた。
<2> パイメタルのしくみを探究
まず始めに,一枚の金属板は加熱しても一定の方向に曲がらないことを実験により確認した。次に,鉄とアルミニウムの棒を用いて線膨張率を比較する実験を行った。
これらの実験結果をもとに,パイメタルのしくみを創造的に考え発表したり試作したりする活動を通して,パイメタルの原理を見い出すことができた。