研究紀要第130号 「自ら学び自ら考える力を育成する授業改善に関する研究2」 -040/074page
その後,黄銅板と鉄板をリベットで接合したものを,アルコールランプで加熱して,予想した方向に曲がるかどうかを検証する実習を行った。
<3> パイメタル模型で動作の確認
パイメタルのしくみをクリスマスツリー用電球の点滅と関連付けるため,白熱電球の熱で自動点滅するパイメタル模型を用いた。この観察により,これまでの学習を振り返り,自分の考えをまとめたり,モデル化して考えたりすることができた。
その後,白熱電球の点滅速度を調節する方法など,新たな疑問から電熱機器の自動温度調節器のしくみへと学習が発展した。
3 結果
グラフは,関心・意欲の程度を生徒の評価により,授業後に調査した結果である。
クリスマスツリー用電球の点滅から,パイメタルの学習を展開することは,疑問を抱かせるとともに,その解決に向けて進んで考えようとする意欲を高めていることが分かる。
(2) 科学的な思考の程度
グラフは,パイメタルのしくみを追究する過程で,着目した科学的な思考の要素が,どの程度はたらいたかを生徒の評価により,調査した結果である。
グラフから,教材を用いて実験を行ったり,その結果をもとに創意工夫して考える活動を取り入れたりすることによって,「筋道を通した推論」「総合的な判断」「モデル化した思考」などの科学的な思考が促されているのが分かる。
(3) 生徒の感想
・ クリスマスツリーの点滅なんか考えたこともなかったけど,今日すごく「何で?」と疑問に思った。 ・ クリスマスツリーの中で,小さなパイメタルが微妙に動いているのが見えてとても感動した。 ・ 驚きと発見がたくさんあっておもしろかった。 ・ 作ったり実験したりするのが好きなので,とても楽しかった。 ・ 金属によって伸び方が違うのを見て,不思議に思った。 ・ 実験にも集中できて,積極的に考えることができた。 ・ パイメタルが2枚の金属からなることを自分で考えられた。うれしかった。 ・ パイメタルが,その他にどんなものに利用されているのか探してみようと思った。 4 まとめ
生徒が興味を示す身近にあるものを導入で用いて疑問を抱かせたり,科学的な根拠を示して,それらを生かしながら創意工夫させたりする授業の展開は,関心・意欲を高め,科学的な思考を促すのに有効であった。