研究紀要第130号 「自ら学び自ら考える力を育成する授業改善に関する研究2」 -043/074page

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調査研究 1   中学校・高等学校理科 地学

1 単元・領域

○ 中学校理科第2分野「天気とその変化」

  高等学校理科地学IB「大気と水」

  気圧の変化を観察する

2 研究の概要

(1) 教材の工夫

 自ら学び自ら考える力にかかわる要素に焦点を当てて,科学的な思考を促すように,教材を工夫し,活用法を考えれば,既習の学習事項や日常経験との関連付けがなされ,概念の構造化が図られると考えた。

<1> 教材のねらい

 中学校と高等学校では,気圧の概念について学んだ後に,高度による気圧の違いや高気圧,低気圧などについて学習する。その際,気圧の観測には,気圧計が用いられている。しかし,気圧計による観測では,気圧の変化を数値として捉えることになる。

 そこで,目で見て気圧の変化を実感し,大気の圧力としての気圧の概念が理解できる 「簡易気圧変化測定器」 を工夫した。

写真1

<2> 教材の特徴

 この簡易気圧変化測定器は,図のように,L字型に曲げた細いガラス管の中央付近に色水を入れ,ゴム栓に通したものを,びんの口に差し込んで,色水の左右の動きによって気圧の変化を観察する装置である。

 この装置では,ガラスびんの中の空気の温度が一定ならば,回りの気圧が下がると,びんの中の空気が膨張するために,色水は図の右に向かって動く。

 また,回りの気圧が上がると,びんの中の空気が圧縮されるために,色水は図の左に向かって動く。

写真2

 短時間の観測なら,ガラスびんの中の空気の,温度変化による体積の変化を考慮しなくてもよい。正確に気圧の変化を観測する場合は,右のように,氷水などを使って,ガラスびんの中の空気の温度を一定に保つようにする。

 また,この簡易気圧変化測定器には,次のような特徴がある。

写真3

・ びんの容積を変えたり,L字型に曲げた細いガラス管の太さを変えることによって,気圧測定の感度を変えることができる。

・ あらかじめL字型に曲げた細いガラス管に,一般の気圧計による測定値に合わせて,気圧の目盛りを付けることによって,気圧の絶対値を測定することができる。

・ 市販の気圧計は高価なものが多く,台数を多く揃えることが難しい。この簡易気圧変化測定器は,安価に製作することができ,授業などでは,生徒全員分を準備し,一人一人に気圧の変化を観測させることができる。

・ 分解,組み立てが容易で,携帯性を備えている。

(2) 授業における活用例

<1> 高さによる気圧の違いの観察

ア 単元の導入部分で活用する場合

1 装置を,名前や仕組みについては触れずに提示する。
2 高さの異なる場所で,色水の位置の違いを観察する。
3 装置の仕組みや,観察結果について考察する。

イ 単元のまとめの段階で活用する場合

1 装置を,仕組みを確認しながら提示する。
2 高さの異なる場所で,色水の位置の達いを観察する。
3 観察結果について考察する。

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