研究紀要第130号 「自ら学び自ら考える力を育成する授業改善に関する研究2」 -044/074page

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<2> 気圧の時間変化の観察

低気圧や台風の通過など,数時間程度で気圧の変化が予想されるような時期を選ぶ。)
1 びんの中の空気の温度を一定に保つ。
2 一定時間(例えば,30分)ごとに,色水の位置を記録する。
3 観察の結果を,グラフ化したり,インターネットなどで調べた天気図上の気圧の変化と比べたりする。

3 教材の活用に対する評価

−アンケート調査から−

写真1 階段を使った観察
階段を使った観察

写真2 エレベーターを使った観察
エレベーターを使った観察

 調査では,中学校と高等学校の教師,それぞれ29名,25名の協力を得た。まず,簡易気圧変化測定器を製作し,実際に,高度の違いによる気圧の変化の観測を行った。その後,授業の導入とまとめの段階での活用に対する評価や,この教材に対する感想などについて調査した。グラフの1(丸囲み数字)〜6(丸囲み数字)は,科学的な思考の要素についての項目であり,a〜cは,概念の構造化にかかわる項目である。

(1) 単元の導入段階での活用

グラフ1 単元の導入段階での活用

 「役立つ」「少し役立つ」を合わせた評価は,どの項目においても高く,この教材の導入段階での活用は,有効であると考えている。特に,高さの違いによる気圧の変化を予想したり,学習への興味・関心・意欲を高めたりするのに,大いに役立つとしている。

(2) 単元のまとめの段階での活用

グラフ2 単元のまとめの段階での活用

 ほとんどの項目において,導入段階での活用よりも評価が高い。特に,気圧について正しく理解したり,既習の原理・原則を適応したりすることなどは,授業の導入段階での活用に比べ,「役立つ」という評価の割合が大きい。

(3) 簡易気圧変化測定器についての感想

高度差により色水が大きく動くので驚いた。
感度が簡単に変えられ,とても扱いやすい。
構造が簡単で作りやすく,安く作れるので,生徒全員に観察させられる。
ほんの少しの気圧の変化でも,目で見て確かめられるのはすばらしい。
エレベーターの中での色水の動きには,本当に驚いた。
よい測定結果が確実にでるので,ぜひ授業で使いたい。
はっきりと気圧の変化を体験でき,我々教師でさえ,既知の原理を具体的にイメージでき,大変うれしい。
びんの温度を一定に保っことで,気圧変化が正確に分かった。
気圧の変化ばかりでなく,温度の変化も調べることができるので,小中高のどこでも活用できるのは便利だ。

4 まとめ

 簡易気圧変化測定器を単元の導入やまとめの段階で活用することは,生徒の科学的な思考を促し,問題解決に積極的に取り組ませることができると考える。また,既習の概念相互の関連付け(構造化)にも有効であると考える。

 今後は,より安定した観測ができるよう改良するとともに,地学以外の領域での活用法について検討していきたい。


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