研究紀要第132号 「「人間関係をつくる力」を育てる指導援助に関する研究」 -059/074page

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う特徴が見られた。これは,自分は友達を理解し仲良くしたいと思っているが,「自分が友達にどう思われているか」が不安だったり,「自分の気持ちをどう伝えたらよいのか」に自信が持てなかったりしている表れと考えられる。(資料3)

 また,資料2の項目3と4の結果を見ると,「欠点が気になる」と答えた児童(65.2%)の8割は,自己表現の仕方に関する内容を欠点としてとらえている傾向も分かった。さらにその内容は,「すぐ怒ってしまう」のような攻撃的なものが9割,「何も言えない」のような非主張的なものが1割を占めていた。

 このような傾向は,昨年度の研究協力学級(小学校6年生)とほとんど同じ傾向を示した。

 このことから,本学級の実態を踏まえた上で,小学校高学年の傾向を次のようにとらえた。

<小学校高学年の傾向>

○ 学級全体の友達を意識する。

 (小学校中学年では小グループを,中学生では特定の級友を意識することが多い。)

○ 友達から見られている自分を意識する傾向が高くなる。

 (「欠点が気になる」,「友達から自分がどう見られているか」を気にする児童生徒の割合が増える。)

○ 友達を求める気持ちが強くなる。

 (肯定的他者受容は,他の項目に比べ,高い数値を示す。)

 また,不安な気持ちから友達に感じたことをうまく伝えることができなくなることも明らかになった。

<指導援助プログラムの目標>

 以上のことから,小学校高学年で身に付けたい自己肯定感と技能の内容を以下のように設定し,互いを大切にしてかかわることができる児童の育成を目標としたプログラム試案づくりを行った。

○ 自己肯定感……肯定的な自己理解・他者理解

○ 人とかかわる技能……自分や他者の気持ちを受け止める認知面での力と自分の気持ちや考えを素直に表現できる行動面での力(アサーティブな自己表現)

(2) 指導援助プログラム試案の作成

<試案作成に当たって配慮したこと>

○ はじめに仲間意識を高める指導援助を位置付け,自己表出を促進させる中で自己肯定感が効果的に高まるようにした。

○ 技能育成の方法としてロールプレイを活用する。自由な感情表出が前提になるため,まず,自己肯定感を高める指導援助を位置付けた。次に,「聞く」「話す」などの基本的な技能を高める指導援助の場を位置付け,ねらいとする技能が効果的に身に付くようにした。

○ 自己肯定感を高める指導援助を日常の指導援助にも位置付けた。

<指導援助プログラム試案(暗室)>

内容                  場・方法

学級活動 日常









友達関係の形成
(仲間意識)
・ショートゲームの実施 自己肯定感を高める

・班ノートの活用
・スピーチ活動

自己肯定感 他者理解
(友達を知る)
・「4つの窓」
自己理解・他者理解
(自分や友達のよさを知る)
・「私は誰でしょう」
人とかかわる技能 基本的な技能
(関係をつくる)
・「温かい・冷たい聞き方」
・「ほめる・受け止め方」
発展的な技能
(関係を深める)
・アサーティブ1(丸囲み数字)
・アサーティブ2(丸囲み数字)
・「こんなときどうしよう」

<指導援助の基本的な考え>

 肯定的な感情交流の場やロールプレイなどの体験的な活動を工夫し,「何をしたか」の行動,「何を考えたか」の思考,「何を感じたか」の感情に焦点を当て,それらを明確にしたり友達と分かち合ったりする振り返りや他者からのフイードバックを重視する。そこでの気付きや実感が適切な対人行動となって人間関係の促進が図られると考えた。

<指導援助の基本的な考え>

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