研究紀要第132号 「「人間関係をつくる力」を育てる指導援助に関する研究」 -065/074page

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○ 「ロールプレイ」「振り返り」「カードへの記入」を一連の流れの中で行う。

 「頼む役」「頼まれる役」のどちらも終わってから「カードへの記入」を行うと,書くときには感じたことが薄れてしまう。そこで,振り返りをまとめて行わず,1回目のロールプレイ終了後,振り返りを行い,カードへ記入する。そして,役割を替えて2回目のロールプレイを行うという流れに改善する。

○ 振り返りカードの形式を変え,「頼む役で感じたこと」「頼まれる役で感じたこと」に焦点化する。

 細分化して欄を設けると,それぞれのタイプに何か書かなくてはという意識が強くなる。頼んでみてと頼まれてみての大きく2つの欄に分けることにより,特に「頼まれる役」での相互比較した内容が表現されると考える。(下図参照)

図1

<4> アサーチィブな自己表現ができるようにする

「アサーティプっていいなあ」

ア ねらい

 アサーティブな自己表現の仕方を考え,リハーサルを通して,そのよさを実感するとともに,日常生活の中で実践しようとする態度を養う。

イ 授業の概要

 「公園で遊ぶ約束をしていた友達が30分遅れてきた。その友達に待っていた自分の気持ちをどう表現するか」という場面を提示した。

写真1

 まず,「普段の自分だったら何と言うか」を考えワークシートに記入した後,代表の児童が先生に向かって表現した。「ふざけるなよ。何分待たされたと思うんだよ」というように攻撃的な表現が見られた。

 そこで,しずかちゃんタイプの言い方を考え,それぞれが「言語面」「非言語面(表情・身振り)」を考え,ワークシートに記入した。

 その後,二人組でリハーサルを行い,どんな感じがしたかを互いにフィードバックしながら,しずかちゃんタイプにより近づくように検討・修正した。

 振り返りでは,しずかちゃんタイプに近づけた訳を「相手の気持ちを考えたから」「気持ちが伝わるようにやさしく言ったから」のように発表していた。中には,「自分の気持ちを入れなかったから,あまり近づけなかった」という感想も聞かれた。

ウ 授業の考察と改善点

<考察>

 「しずかちゃんタイプに近付くことができたか」では,以下のような結果になった。

グラフ 「しずかちゃんタイプに近づくことができたか」

 おおむねしずかちゃんタイプを理解して自己表現している様子がうかがえた。ただ,「あまり近付かなかった」が4人(17%)おり,その感想に「自分の気持ちを入れなかった」「本当の場面では話せない」が見られた。

 「しずかちゃんタイプを普段の生活の中でもやれそうだと思うか」では,以下のような結果になった。

グラフ 「しずかちゃんタイプを普段の生活の中でもやれそうだと思うか」

 「やれそうだ」と考えている児童の割合が高いことが分かった。さらに,「思う」という児童が増えるよう自信を持たせていく必要を感じた。

<改善点>

 この授業では,「普段の自分」を意識して自分を省みながら考えることがポイントになった。そこで,より「普段の自分」を意識させるために次の点を改善する必要性を感じた。

○ 「普段の自分」の表現を代表の児童だけでなく全員に体験させる。

 ワークシートに書いたことを声に出してみること


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