平成14年度 研究紀要 Vol.32 - 000_03/069page

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たっては,単に評価を行うだけでなく,評価結果を十分に活用し,課題が明らかになった場合には必要な対策を迅速に講じることが重要であることを,今年度の研究をとおして改めて実感しました。このような観点を確認しながら,さらに研究を推進してまいります。

 カリキュラム研究チームは,「個に応じた学習指導」の充実のための基礎的な研究を行いました。全国的に学力の低下が懸念されている現在,子どもたちの学力到達度実態を客観的かつ継続的に把握することがますます重要になっています。しかしながら,これまでのように全体の平均正解率による学力分析では,その後の学習指導の改善に向けた分析とはなり得ません。

 これまでの研究でつまずきやすいとされている学習項目について,改めて学力到達度ごとに学力到達度の実態を分析しました。また,「学習に対する意識や態度」について学力到達度ごとにその実態を分析し,学習指導の在り方について研究しました。さらに,「OECD生徒の学習到達度調査」問題を参考にしながら,問題解決能力をできる限り数量的に測るための研究に着手し,「確かな学力の向上」に向けた学習指導の在り方について研究を進めました。

 情報活用研究チームは,「生きる力を育てる教育の情報化」を図るための研究を行いました。
 各教科においてITを効果的に活用し,分かる授業を実現することは,子どもたちの「確かな学力」の向上を図ることにつながります。こうした各教科の授業におけるITの活用を促進するためには,一人一人の教員が,学力の向上を図るためにITが効果的な道具であると認識し,ITを活用できる指導力を向上させていくことが必要です。そのためには,授業で利用できる教育用コンテンツの整備・充実を図るとともに,それを活用した授業実践例を積み重ねることが大切です。また,情報ネットワークを活用することによって,このような課題についての研究者を一カ所に固定する必要はありません。このような研究のコーディネイター役を果たすのが,本教育センターであると考えています。

 また,これまでに述べた教育改革を実現するためには,学校教育の直接の担い手である教師の実践的指導力の向上が欠かせません。そこで,長期研究員が,理論研究にとどまることなく,学習指導や生徒指導についての具体的な実践研究を行い,各学校における日々の教育活動に直接役立つ研究を行いました。

 この「研究紀要第32集」は,上記研究の成果をまとめたものです。紙幅の限りもあり,十分に意を尽くせない面もありますが,各学校がそれぞれの教育課題の解決や教育実践の充実を図る上で役立てていただければ幸いです。

 おわりに,本教育センターの研究に際し,ご協力を賜りました研究協力校や研究協力員の皆様,並びに関係機関の方々に対しまして,心より感謝申し上げます。

  平成15年5月

福島県教育センター所長 星  本文


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